ゆらぎり【脚本:成島秀和(こゆび侍)×演出:古川貴義(箱庭円舞曲)】 公演情報 FOSSETTE×feblabo×エビス駅前バー「ゆらぎり【脚本:成島秀和(こゆび侍)×演出:古川貴義(箱庭円舞曲)】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    最高の贅沢!
     会場が狭いこと、そして当然のこと舞台が狭いこと、それらがマイナスにならないばかりか、逆にとてつもない魅力になることをこの劇場は思いしらせてくれる。狭い空間に満員の人、足を伸ばす事もできず、隣の人と肩がぶつかってしまう。こういうとき、体が大きいのは損だ。そして固い座り心地の悪い椅子。そういった悪条件も、そこに素晴らしい役者がいて、素晴らしい芝居があれば、最高の空間になってしまう。まさに芝居の魔力だ。

     役者の息遣いが聞こえる。ふとついた役者のため息さえ、しっかりと捉えられる。なんという贅沢。成島秀和の作品を古川貴義が演出する。なんという贅沢。そして各劇団からいい男といい女を集めたような座組。なんという贅沢。

     成島秀和の戯曲は愛しあう男女が微妙にすれ違っていくさまを見事に表現し、恵比寿駅前バーをうまく活かして、バーのカウンターで隣のテーブルの会話を盗み聞きしているようなそんなゾクゾク感を与えてくれる。そして古川貴義の演出は、これまた狭い空間を見事に活かし、二人の会話が突然、違う組み合わせに変わっていくという素敵な仕掛けを用意した。いい演出家は、舞台の狭ささえ、長所に変えてしまうのだ。お見事。

    ネタバレBOX

     役者では、二人の女性の心を弄び、それがゆえに転落していく男性を澤田慎司が好演。持ち味の誰にも好かれる性格の良さを逆手にとり、それゆえ、他人から嫉妬され、落とし穴に陥ってしまう男を見事に演じた。莉奈役の望月綾乃はロロの役者で前回の公演で気になっていた女優。早くもベテラン俳優を相手に一歩も引けをとらぬ演技ぶり。将来が楽しみだ。エステエリザベスの社長貴島荒太を演じた和知龍範は典型的な二枚目、いつか彼を主役にして、影のある二枚目をたっぷりと見せてくれないかなあと思わせる俳優。

     客席の一番前の列で見た。役者と役者の間隔より役者に近かったりする。思わず自分が舞台に立っているような緊張感を感じた。素敵な経験だ。

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    2010/01/29 03:17

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