茶沢通りに咲いた花 公演情報 ネコ脱出「茶沢通りに咲いた花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    オムニバスというよりも
    全てが繋がって、しかも世代も繋がっているという、割と時の流れを感じる舞台だった。だから、ワタクシ的には一つの物語と解釈した。この物語を観終わった時に作家の迷いみたいなものを感じた舞台だった。本来なら、もっと前に観た舞台だったから、もっと早くUPしてあげるべきだけれど、作家の迷いとか、不安が現在置かれてる立ち位置のような気がして、ワタクシ自身が慎重になったのだった。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    この物語は作家自身が住む下北沢の茶沢通りに咲いていた小さな花を、ふと見たことから書いたという。そんな小さな花に男性が気がつくという心持がなんだか、いろんな見えないものに繋がれてじたばたしている作家の心境を感じて、いったいどんなふうにどうやって書いたらいいのか考えてたら今日になってしまったんだよね。

    物語は一組の恋人たちの情景から始まる。三好はギタリストになりたいが、その夢はどうやら叶いそうにない。ガンを告知されたからだ。自分の命が余命いくばくもないと知った三好は恋人・アキとの約束だった結婚を破棄して、アキには別の幸せを掴んで欲しいと願う。結婚の約束を破談にされたアキは何も知らされてなかった事から理由が解らず途方にくれてしまう。ここでアキの兄・三郎(村手龍太)がアキを庇う為に登場するのだが、村手ってなんであんなにおっさん役が似合うんでしょか?笑  芸は身を助けるっていうけれど、芸っていうよりも内から滲み出た匠を感じる。ワタクシの中での巨匠ですわ。

    でもってこの恋人たちは、三好に放った三郎の熱い助言、「死の瞬間まで守ろうとするヤツ、大切にしようとするヤツが優しいヤツなんだよ。中途半端に抜け出す前におめえの出来る事を全てやってみろ!」との言葉に気付かされ結婚する。

    しかし、時代は学生運動の時代。理想郷の為にと結成された連合赤軍は進む方向を失ったトンボのようにクルクルと空回りし狂気と化す。

    いつだってそうだ。同じ釜の飯を食い、同じように汗を流した体験は一体感、連帯感の醸成には効果的なのだ。ひとを高揚させ感激させ情動的にさせる。その場の誰かの指示や命令に反射するように従うようになる。隔離された環境に人を集めたことで彼らは、いつもあっさりと幹部たちが期待したとおりの気分を共有してしまい人殺しだってなんだってするようになってしまう。これは人殺しなんだ!と気付いた時には、もう深みにはまってしまい出られなくなる。出る者は殺されるのだ。だから、赤軍の中で恋愛感情が生まれた男女はここを抜けようとして殺されてしまう。

    そしてアキの兄・三郎も強盗に入った連合赤軍によって殺されてしまう。そして、三好を失ったアキは一つの希望が宿る。妊娠したのだった。そしてその子が大人になって、見合い相手に結婚の申込みをしたいが中々言い出せない気弱な男として登場するが、この部分はコメディタッチで、なんだか作家とリンクしてしまう。笑

    要は世代を超えた男女の営みの中で迷った時、絶望したとき、失意の淵に佇んだときに小さな花に願いをかけると叶う、というなんとなく切ない希望を表現したような舞台だった。だから、作家の夢への渇望みたいなものをひしひしと感じてどんなふうに筋道をたてて説明するかを迷った。筋道をたてればたてるほど、逆にほんとうに言いたい事からどんどん遠ざかってしまいそうな気がしたのだ。

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    2010/01/26 12:37

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