スーパースター 公演情報 劇団鹿殺し「スーパースター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ピカイチの中のスーパースター
    鹿殺しの物語って毎回、回想劇的な香りのする芝居だ。しかしその香りは長屋の湿った匂いだったり、錆びた鉄の匂いだったり、雨上がりの土の匂いだったりする。登場する子供たちも下町の工場跡の廃墟で遊ぶのが似合う子らだから、なんとなく郷愁めいた懐かしいこころもちになるのかも知れない。だから、このような描写にこんなにも共感して時代とともに見えてくる将来像も嫌いにはなれないのだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    うどん屋に生まれたピカイチは団地に住んでいたが、この団地に大阪西宮幹線道路を通す計画が持ち上がり、行政から立ち退きを命じられる。父の経営するうどん屋は経営不振のため借金した挙句、借金取りに脅されていた。そんな状況の中、弟の舜一は中学一年で中学ボクシングのチャンプになる。

    「スーパースターは生まれた時から星を持っているんだ。相変わらず星を掴めない俺はドンキ・ホーテだ。」なんて思いながらピカイチは、おかんと交換日記のような交換漫画を描いていた。うどん屋の手伝いで忙しいおかんはピカイチと漫画を描いて交換することがゆういつのコミュニケーションだったのだ。そんなおかんもやがて不自由な体で入浴しようとして誤って溺死してしまう。あれほど父と弟に「おかんを看てて。」と言ったのに弟がボクシングの練習なんかに行ってしまうから。と恨めしく思う。

    そんななか、舜一は栄光の道を駆け上がるかのようにボクシングの世界で一世を風靡する。今や恐いものがない舜一は時々兄のピカイチのところにやってきては、漫画を描きながらも未だにうだつの上がらない兄にハッパをかけては帰っていく。ここで登場する漫画のキャラクターたちがアニメちっくで可笑しい。そして自らが描いたこのアニメちっくなキャラクターたちに励まされたり、同調されたり応援されたりするのだから、夏目漱石の「坊ちゃん」みたいで楽しいではないか!笑

    しかし、そんなピカイチにも春が訪れる。ヤンコミの編集者がピカイチの書いた「団地の超人ブッチャー」の連載を決めたからだった。ブッチャーはピカイチが小学生のころ、生乾きみたいな悪臭を漂わせながら、何処からともなくやってきて、何をやらせてもヒーローばりに事を成し遂げるピカイチのスーパースターだったのだ。しかし当のピカイチはそんな漫画を描いた覚えがない。覚えはないが描いた作家のフリをすればいい、なんてペルー(友人)に押されてその気になってしまう。しかし、順調にことが流れたのも第3話までで、それ以後は編集者の元に原稿が届かないという。慌てたピカイチは自ら原稿を描くが上手く描けない。

    そんなおり、おかんとの思い出の場所だった団地の強制退去命令が届く。かじりついてでも守りたかったこの家をあっけなく叩き出されてしまうが、段ボール箱の中にあった、おかんと初めて描いたマンガ、二人で描いたマンガが出てくる。それはまさしく「スーパースターブッチャー」だったのだ。その中でのスーパースターブッチャーは「何度倒れても立ちあがれ!」とまるでピカイチの応援歌のようにボクシングのチャレンジャーとして登場する。

    そしてピカイチは、これを描いたのは俺なんだ。とやっと気づくのだった。おかんのこと、マーチ(憧れの女性)とのこと、おとんに認めてもらいたかったこと、それらが自分の中で重なり合って自分自身の重心がはじっこに偏ってしまったみたいに、観る世界も偏ってしまったのだった。

    バスケのシーンが素敵だ。中学生のころを思い出して懐かしい。イザという時に一番大切な時にシュートが決まらなかった演出の仕方もお見事だった。シュートが外れたボールは鈍い音を立てながら床の上を弾む。やがてその音は小刻みに揺れながら、ピカイチの耳と言うより顔に音をねじ込むように響く。
    シュートが入っていれば・・!と落胆するピカイチに「たった一回シュートが入らなかっただけだ。何回だってシュートを打てばいいんだから。」とブッチャーが励ます。

    やっぱ、これ応援歌だね。団地の使い方や見せ方が上手い。天井から吊られた蛍光灯の仕掛けや、ダンボール箱をビルに見せた演出も楽しかった。そして何より、喜怒哀楽の全てが詰まっていた芝居だった。
    人生って大好きなもの(人)があるといいよね。エンゲキもそうだけれど、好きなものがたくさんできるといいな、って思う。

    4

    2010/01/25 16:04

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  • ゆめ>
    >冠婚葬祭や家を建てる時など、ドカ~ンと使う傾向にあるから、もしかしたら、見栄っ張りなのかもねぇ。

    あ、名古屋の結婚式をみたことがあるけれど、凄かった。金襴緞子ばりばりのお披露目でした。結納も凄いらしい。近所に花嫁が持参した箪笥や着物なども見せるお披露目もあって、なんだか、その場面をみてたら、花嫁が気の毒で仕方がなかった・・。
    ゆめって岐阜県人でしたか。
    ええ、鹿殺しは素晴らしい劇団です。名古屋あたりでも公演してくれればいいのにね。観客の動員が難しいのかな~?

    2010/01/31 11:25

    名古屋人が金持ちなのは、財布の紐が固いからってことらしいよ。
    で、冠婚葬祭や家を建てる時など、ドカ~ンと使う傾向にあるから、もしかしたら、見栄っ張りなのかもねぇ。

    ちなみにオレは、岐阜県人だから…(;´▽`A

    鹿殺し、いつか絶対に観ます!
    その、「いつか」が、いつになるかはわかんないけれどね( ̄ω ̄A

    でも、いつか、きっと…(*・∀-)☆

    2010/01/30 23:32

    ゆめ>
    YouTubeで観たのね?そしたらやっぱ、生も観てもらいたいよね。
    名古屋って大都市の割に劇団が行かないよね。なんだろ?
    実は名古屋人が一番のお金持ちなのよね?以前、何かで読んだけれど、国民総中流といえど名古屋人には敵わない!みたいなことが書いてあった。
    だから、東京で3000円の舞台も名古屋なら5000円取れるかも。笑


    2010/01/30 00:52

    この劇団
    みさのお気に入りみたいだね^ω^

    YouTubeで「ベルゼブブ兄弟」の映像を覗いたら
    生の舞台も観たくなっちゃったよ

    名古屋遠征はないのかなぁ…

    2010/01/29 23:39

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