バベルノトウ 公演情報 国道五十八号戦線「バベルノトウ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    うまくのせられて・・・
    物語の展開にうまくのせられて
    次第に変容していく舞台の雰囲気に
    引き寄せられて・・・。

    物語が貫かれ、全体が見えたときの
    すっと焦点があったような統合感に
    取り込まれてしまいました


    ネタバレBOX

    冒頭に
    レポートを読むようにバベルノトウという
    植物の定義が提示され
    物語が始まります。

    学校と研究所のシーンがなんども行き来する。
    最初はそれぞれのシーンから醸し出される
    不可思議な設定や会話の面白さを楽しみながら
    ほげっと観ているだけなのですが、
    それぞれの世界にバベルノトウが浸透していくなかで、
    裏表のようなシーンが
    まるで2匹の蛇が互いを尾から呑み込むように
    他側を幻想として
    取り込んでいくように感じられてきて・・・・。
    その感覚にぐいぐいと惹きこまれる。

    やがてその虚実が混沌としていくなかで、
    ふたつの世界が熟れおちるように崩れ始めます。
    二つの世界を繋ぐ時間軸が観る側に顕わになっていくのですが
    その表現も秀逸。
    何かから醒めるときのあやふやな感覚が
    次第に実像を結んでいくような感じ・・・。
    伏線が鮮やかに効いて、二つの流れが一つの時間軸に
    統合していくその一瞬に、
    抱えていたものがすっと腑に落ちるというか・・・。
    こういう物語の見せられ方、
    癖になる。

    しかも、ひとつに結ばれた物語の俯瞰だけでは終わらず、
    さらに、浮かんでくる
    幻覚のコントロールでは隠し切れないような、
    人間の根底にあるものの気配に
    空恐ろしさを感じて
    ぞくっとしてしまいました。

    まあ、舞台上の個々のシーンに込められた密度が前回公演より若干粗い感じもあったのですが、今回の内容には、そういう質感の方が表現できるものが多い感じもして。
    また二つの世界をひとつに寄り合わせる物語の骨組みや流れのしたたかさに、作り手側の創作的粘り腰の強さを思ったり、表現のセンスを感じたり。

    初日ということで、会話のリズムが崩れた部分もあったのですが、作り上げる色の確かさはきちんと維持できていて。
    公演期間の後半には、さらに安定感が舞台に醸成され
    いまより強いグルーブ感が生まれる感じもしました。

    役者の方々の持ち味もそれぞれにがっつりと出て、
    時間を感じさせない舞台でありました。

























    どちらが現実でどちらが幻想なのか・・・、
    その虚実を思いながら観ているうちに
    舞台にどんどんと引き込まれていく。


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    2010/01/21 15:50

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