第45回関東高等学校演劇研究大会 公演情報 関東高等学校演劇協議会「第45回関東高等学校演劇研究大会」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    甲府第一高等学校「 Stand By Me 」
    脚本: はやおとうじ・橋詰 博・坂本知弘( 生徒・顧問創作 )
    オリジナル部員は2名。ずっと二人芝居ばかりやってきたとのこと。だから息もぴったり。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    昭和39年10月10日、日本中がオリンピックに沸いたこの日、橋詰弁護士は拘置所の接見室にいた。大企業をゆすったインチキ降霊術師を弁護することになったのだ。勝機のなさに途方に暮れる橋詰。その時、降霊術師の口から発せられた一言は「兄さんの仇はうったのか」だった。橋詰は尊敬する兄を戦争で亡くしていたのだった。「なぜそれを?」と詰め寄ると、降霊術師は橋詰の幼馴染だったことを知る。

    序盤、二人の少年が舞台バックの風景の中から浮かび上がってくるように駆け出してくる。風景画は大きなキャンパスに描かれた馬場山とどこまでも続くコバルトブルーの空だ。そこから飛び出したように現れた二人の少年は白いタンクトップと半パン姿。まるでジブリの映画のように、コーンファームが良く似合う。少年らは馬場山にグラマンが落ち、そしてアメリカ兵が落下傘で落ちてきた姿を確認した後、こうして走って観に来たのだった。糸の切れた操り人形のように木に引っ掛かってつり下がったアメリカ兵を見たとたん、戦死した兄を思い出した一人の少年(弁護士)は米兵を直情的に憎み、殺したいと思う。そして近くに転がっていた石を掴んで投げる少年。それを止めるもう一人の少年(降霊術師)。投げられた石は止めに入った少年の左目に当たって失明してしまう。しかし、この間の記憶が曖昧になっていた少年(弁護士)は自分がアメリカ兵を殺したと思いこんで大人になり弁護士になる。もう一人の少年は親友の為に失明したことを隠し失踪してしまう。赤鬼と青鬼の物語みたいだ。

    やがて大人になった彼らはこうして拘置所で再会したのだった。少年だったあの頃の犯した罪の記憶と、政府が関わる馬場山の隠された秘密、それらをリンクさせながら、笑いとサスペンスと降霊(ホラー)を上手く組み合わせていたと思う。何が素晴らしいって、やっぱ既成の脚本で演じるのではなく、脚本も演出も、バックの画も自分たちで制作したという、その心意気に共感した芝居だった。なんだかんだいって、今回の全ての作品の中で序盤での駆ける二人の少年は絵的にも美しい芸術品だった。

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    2010/01/17 22:23

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