FUTURE 公演情報 ブラジル「FUTURE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    骨格を隠す質感、浮かび上がらせる力
    ひとつずつのシーン、
    いろんなものが詰まっているのに、
    くっきりとシンプルに感じられる。

    その力に押し切られて
    曖昧な部分の苛立ちが
    観る側の意識の底に沈んで・・・。

    終盤に物語の骨格が浮かび上がって
    もやもやした感じが霧散するとき
    いろんな感覚が一緒にサルベージされて
    ぞくっときました。

    ネタバレBOX

    舞台の上手と下手それぞれにしつられられた二つの部屋、
    個々にすすむ物語にはそれぞれの世界があって。
    でも観る側には、ある種の同期が感じられる。

    よしんば、二つの世界に何の関連がなくとも
    個々の世界の登場人物たちから染み出してくる
    部屋の主を取り巻く人々の行き詰まり感と
    その腐臭がしたたかに描かれていて・・・。
    醸し出される空気の秀逸さが
    物語の骨格をその質感の中に埋めてしまいます。

    その中で、二つの世界を繋ぐことになる女性の存在が
    ボディブローのように効いて来る。

    二つの部屋の主を演じた櫻井と高山が
    繊細に積み重ねた
    何かに淡白な性格のシンクロが、
    最後の最後に
    すっと一筋の時間の道筋として
    観る側にがっつりと効いてきました。
    他の登場人物たちの表現もしっかりしているから、
    そのつながりが、ぞくっとくるような重さをさらに切り裂いて
    観る側に浮かんでくる。

    物語の骨格を隠す力と、晒す切れに
    戯曲の秀逸さと役者の演技の確かさを
    実感した舞台でありました。

    ほんと、終わってみれば
    跡を引くようなぞくっとくる
    面白さに満たされておりました。

    0

    2009/12/21 10:56

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大