三年前のリフレイン 公演情報 劇団東京座「三年前のリフレイン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    当日パンフに座長兼演出の筒井勇樹氏が「”初めてのことが沢山“ 我々の可能性へ通じるヴァージンロードに躊躇なく土足で入っていただき、唾をつけるなり手垢を塗りたくるなりしてくださると幸いです(続きあり)」とある。真に受ける訳ではないが、いくつかの課題があったと思う。

    脚本(物語)が分かり難いこと、演技がかたく ぎこちないこと、もう少し制作面での配慮が必要なこと。特に制作面では開場が遅れ、それに伴って開始時間が15分以上遅れ、さらに場内案内もあまり適切とは思えなかった。
    (上演時間1時間40分 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、後ろに暗幕、その前にボクシング リングと椅子。終盤は暗幕が開きCDを貼り付けた立体ボードのようなもの、下手にドアを設える。前半は生身の人間を活かしたセット、終盤は機器/装置で異次元を表現している。舞台転換をスムーズに行うため、凝った作り込みはしていない。ちなみにタイムマシンはタイムレコーダーで、日時/場所を打刻して時空間移動する。

    メトロポリタンガッチャマンジムに所属している馬場清人(役名=本名)は、ある試合をきっかけに、人知を超えた能力”光の速さで動く能力”を手に入れる。その試合後に現れた女性 神原茜から その能力を使わないよう言われ、出来ればボクシングをやめてほしいと頼まれる。彼女によれば時間の歪みが生じ、世界的に危険な状態になるらしい。彼女の言葉は、にわかには信じられないし、ボクシングをやめたくない。特殊能力のおかげで連戦連勝、ジムの会長の営利思惑、ジムの先輩・後輩との微妙な関係、新しくジムに入った謎の女性トレーナーとの恋愛らしき話を点描する。パンフにキャスト紹介<年齢・入団年と出身県>と登場人物相関図が載っているが、何となく劇団員 歴が物語の(人物)関係性に反映されているような。劇中、茜(飯富なみだ サン<25歳>)が清人(馬場清人サン<21歳>)を馬場君と「君付け」で呼び、ジムの先輩/後輩も劇団内の年齢の上下関係になっている。何となく稽古場をみているような。

    茜は3年後の未来(世界)から、彼を救うためにやって来た。3年後に彼は拘束され…。その場面が終盤の機器/装置、ベットに拘束された清人の姿である。彼の能力をどう悪用しようとしているのか、魔の手とはどんな組織(政府なのか企業等)なのか、多くの説明不足がある。かと言って幻想や心象風景を描いているわけでもない。
    タイトルにあるリフレインは、映画「ターミネーター」を連想する。未来から自分という存在、その生命(母親)を助けに来る は、物語として分かり易く、SFアクションとしても楽しめた。この公演ではタイムトラベルに関わる疑問、例えばタイムパラドックス等を茜が台詞で説明するだけ。それでは説得力に欠け、タイムトラベルの面白さ=物語の醍醐味が伝わらない。そこを上手く表現するのが舞台であろう。

    演技は総じて かたく、ぎこちない。またジム会長・金山浩二の大声・誇張した演技には理由があるのだろうか。一人だけ目立って不自然だ。清人とその対戦相手・松本毅の上半身が そこそこ引き締まっていたのが救い。
    最後に制作について、全席自由席であったが、場内案内では中央席から詰めて座るよう指示。すでに端に座った人に声掛けし席の移動を促している。後から来る観客への配慮であろうが、やり過ぎではないか。結果、中央が密になっていた。呼び掛けだけでよかったと思う。

    冒頭のパンフの続きに「その軌跡を軸に素晴らしき芸術の爆発を繰り返していくことになりましょう」とある。期待!
    次回公演を楽しみにしております。

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    2022/09/18 14:26

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