甘い丘 公演情報 KAKUTA「甘い丘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    甘い匂いが受け入れられるか
    「生きる(生きていく)」ということが、ぶっきらぼうに投げ出されたような作品だった。
    ぶっきらぼうだけど、優しい
    「仲間」というより「家族」の営みに近いぶっきらぼうさと、優しさ。ときに残酷だったりもする。

    ネタバレBOX

    オープニングにどきりとさせられた。
    「生と死」が扱われるのだ、というような狼煙のようなオープニング。

    甘い丘は、女たちが(再生し)「生き続ける」ことのできる丘。
    女性がメインの物語。

    かつて、例えば映画『天国と地獄』では、丘の上は天国で下は地獄だったが、この丘は、周囲からは「堕ちていく場所」として認識されているらしい。
    なかなか皮肉の効いた設定だと思う。街から見上げると、モクモクと煙を吐く「誰が行くのだろうか」と思われている工場がいつも見える。
    つまり、下の街からこの丘にやって来るのには、それなりの覚悟と諦めが必要ということなのだ。
    「甘い」香りに誘われるように、訳ありの者たちが丘に引き寄せられる。

    サンダルを作るゴムの臭いは、「甘い」らしい。
    それに対して、好きな匂いだと言う、作家や探偵は、この丘を必要をとしていない。
    逆に、この丘を必要としている人には、受け入れにくいイヤな臭いに感じてしまう。
    「場所」に対する嫌悪感、ここまで堕ちてしまったという想いが、甘い臭いを拒絶するのだろう。
    それなりの覚悟と諦めをもってしても生理的に拒絶してしまう感覚か。

    しかし、この丘は、この工場は、この工場で生きる人たちは、誰もを受け入れてくれる。それは少々乱暴だったり、雑だったりするが、誰もを拒絶しない。去っていく者に対しても同じだ。干渉しないということでもない。

    ここはどん底ではなかった。
    死をも意識した女が、死のうとする女を助ける。確実に再生していく姿がそこにあった。

    ここが帰る場所だと思う者には、いつまでも甘い匂いを振りまいてくれる丘だ。

    ちよっと不思議な前向きさが気持ちいい。

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    2009/11/10 04:28

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  • ご来場&コメントありがとうございました!

    2009/11/11 04:02

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