ろじ式〜とおくから、呼び声が、きこえる〜 公演情報 維新派「ろじ式〜とおくから、呼び声が、きこえる〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    原始を巡る旅の果てに・・・
    進化論を軸に、創世記からこれまでに人間が深く関わり合ってきた物々(亀類、魚類、恐竜の化石、おたま、しゃもじ、運動靴、ツボ、鍋、杖、アンモナイトなど)がざっくばらんに標本化されうず高く積み上げられた無数の箱をルーティンワークさながら機敏な動作で繰り返し移動して組み替える個を排し無に徹した人々は舞台装置のとして機能し、反復される素朴な単語の数々はドラマティカルな響きを放ちながら、言葉の無意味さを裏付けているかのよう。変拍子の電子音は脳髄に響く。ショーケースの中でくるくると回り続けるお人形を見ているような舞台だった。

    ネタバレBOX

    漆黒の宇宙空間に浮遊する無数の隕石のプロジェクターを背に、突如として姿を現した原人が、少しづつ進化して程なく知恵を獲得し、文明を築きあげていく。立方体の中には、人類が関わりあってきたモノやコトが収められ、手際のよい積み木遊びを観ているよう。

    構築、解体、反復を繰り返しながら積みあげられていく歴史。
    断片的な原始のかけらの集積が示す時間の流れ。
    移動し、消化される箱の群れ。
    未来への道しるべの陰で0.1ミリの弾丸をつくる機械工。
    歯車の一部として機能する歯車と化した人間の精密な運動。
    工場のすぐ横を駆け抜ける虫取り網をもった純朴な子供は戦前、あるいは戦後の高度経済成長時の古き良き日本の情景を思わせる。
    だいだいいろの夕陽。夕陽が照らす人々の営み。春夏秋冬。路地裏のノスタルジア。非日常的な事柄を電話で話す3人の郵便配達員。
    やがて日常の単調さを象徴するものへと変わっていく積み木遊び・・・。

    モノに頼らずに人類が大地を踏み鳴らし、踊る、原点回帰。
    アジアを目指して歩き出す原人の大陸移動のようなラストに強い戦慄を覚えた。

    それから特記すべきは会場の門をくぐると、つげ義春原作、石井輝男監督の映画「ねじ式」で主人公が迷い込む世界が具現化されたような木造の屋台村が現れて、その先に縄文時代の竪穴住居を模した物、更に地球のような、太陽のような巨大な円形のオブジェ、その奥に聳え立つ体育館にくねくねと会場に繋がる底板が、現実と非現実世界の境界線をつないだ”ろじ”として機能していた空間。とても素敵だった。

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    2009/11/08 18:09

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