プレイバック Part3 公演情報 劇団チャリT企画「プレイバック Part3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ずるおもしろく、したたか。
    世間が多少揺らぐ昨今、
    まともにぶつかれば
    それなりにリアルな匂いが付きかねないような内容を、
    ずるおもしろく茶番に仕立て、
    作り手の時代に対する醒めた達観を見事に観客に提示しておりました。

    ネタバレBOX

    戦後の学生運動がずっと左っぽかったのは確かで、
    それが戦前っぽいの右に揺れもどるという発想が、
    舞台上では、ある意味とても新鮮かと。
    まあ、ネチズムなどの世界では
    それなりに当たり前のトレンドなのかもしませんが。

    しかも、この手の話をすると、けっこうついてくる
    思想の臭みをたっぷりの茶番で抜かれているところが
    とてもよい。
    右であろうが左であろうが
    肯定しようが否定しようが、、
    臭みが出やすいことに変わりはないわけで・・・。

    思想が人をひきつける力と危うさを
    教条的にならず
    しっかりと見据えて、逃げずに表現するあたりに
    「キャバレー」や「サロンキティ」といった映画での
    ナチの匂いの描き方のしたたかさを
    思い出したりもして。

    歴史的な事実は、ただ事実として存在し、
    それにかかわった人間は人間臭くそこにある・・・。
    Part3のカセットテープの裏表に重なった。
    その表現のアイデアにはちょいと舌を巻きました。

    事実をあるがままに受け止めるのは当たり前の話なのですが
    それを、ありのままに表現し受け止める意志や力って
    具象化するのがけっこう難しいように思うのです。
    事実を公表する理をしっかりと説いて
    それを方便と言い切る編集者の持つある種の健全さには
    かなり魅せられました。
    こういう、しっかりとした力を持って逃げない中庸さの表現って
    がっつりしたしたたかさがないと
    できないことだとも思うのです。

    それにつけても、山口百恵ですよ。
    その取り入れ方にはやられました。
    あまりといえばあまりなあからさまさ。
    引き倒されるように笑ってしまいました。
    奥行を持った作品だからできる荒技なのでしょうけれど・・・。
    前述の匂い消し効果も抜群で
    薄っぺらさが浮くことなくスパイスのように
    観る側に効いてきたことでした。





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    2009/11/03 09:55

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