暗闇シークエンス 公演情報 赤堤ビンケ「暗闇シークエンス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    いろんな距離感
    群像劇でもあるのですが、
    一人の人物にたいする距離感が
    結果的にとてもしっかり表現されていて
    その描き方が印象に残りました。

    最初の部分には
    戸惑うような役者たちの空気があるのですが、
    それが後半になると物語の質感にしっかり効いてくる。

    終わってみれば人のつながりの感覚が、
    細かく伝わってくる作品でありました。

    ネタバレBOX

    冒頭のシーンはともかく
    その後の時間帯は、
    観ていてもあまり居心地がよくない。
    舞台にいる役者が、空間を作ろうとしているように
    思えないというか・・・。

    しかし、舞台の人数が増え
    シチュエーションが観る者に伝わってくるにつれて
    最初のシーンの空気にしっかりとリアリティが感じられるようになるのです。

    死んだサークルの友人に対する、一人ずつの距離感が
    とても細かく伝わってきて、
    その中で、いろんな角度から死んだ友人の一面が浮かんでくる。
    しかも、同じような距離感の中で、
    生きている人間どおしの、つながりがそれなりにありながら、一方でどこか希薄な空気感がじわっと感じられてくる。
    その「じわっ」感が最初からずっと貫かれていることに気がついた瞬間、冒頭の空気に感じたとまどいや平板な感覚が、物語の質感としてすごくヴィヴィドに広がってきて。

    しかも、死んだ人間との関係だけではなく、友人や男女の関係の肌触りにもしっかりと実存感があって、観る側がどんどんと取り込まれていきます。

    終盤、サークルのメンバーが見ていなかった彼の姿が、他のサークルの人
    間や、女性、さらには死んだ友人の父親から、彼らが見ることのなかった人物像が提示されて。

    生きていくライブ感の密度のようなものに、役者に加えて作・演出の秀逸を思ったことでした。






    0

    2009/11/03 09:12

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大