モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】 公演情報 タカハ劇団「モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】」の観てきた!クチコミとコメント

  • このカクテルで乾杯は無理
    評判作の再演ということで見に行ったのだけど、最初に見てイマイチだった「もう一度スプーンを曲げよ」のときの評価を覆すものではなかった。

    ネタバレBOX

    70年安保からすでに40年近くが経ち、当時学生だった人の孫が今では同じ大学の学生であってもおかしくないくらい。後の世代が当時のことに興味を持ってあれこれ調べていけば、だいたい似たような感想に辿り着くのではないだろうか。その意味では、それほど新鮮味はなかった。

    当時、内ゲバをやっていた過激派が今も解散せずに残っていて、大学生を勧誘したりしているのも、最初に知ったときはちょっと意外な感じだった。

    この芝居では、大学の自治会室が廃止されることになり、それに反対する学生の動きを中心に描いている。それを支援する人物としてかつての過激派のメンバーが登場し、署名集めに協力したりするが、何かというと組織への支援金を求めるので、宗教団体みたいだと皮肉られるところが可笑しい。

    当時の学生男女がつけていた交換日記が自治会室に残っていて、それを読んだ現代の学生が、彼らの政治思想と性欲の折り合いのつけ方に、ある種の滑稽さと堅苦しさを感じるというのもうなずける。

    劇中、この日記の男女が役として登場するのだが、その描き方にはかなり疑問を感じた。

    冒頭に登場して二人が日記の内容を交互に語るところでは、それが現在なのか過去なのかがどうもはっきりしない。

    かつて学生運動に参加していて、今は大学の職員になっている中年男が、実は二人の知り合いで、夜中に自治会室で三人が会話するところでは、男女が中年男の回想の中にいる人物だと感じられる。

    ところが終盤になると、現在も過去も関係なく、学生たちが入り乱れる。

    具象の舞台装置は現在の自治会室を表していると考えるのが普通だと思うが、そこへ過去の人間を登場させる場合、それなりの手続きというか設定が必要なのではないだろうか。その辺があいまいなので、過去の二人はときには現在に住む幽霊のようでもあり、ときには現在の人間の回想の中の登場人物に思えたりもする。あるいは芝居自体が過去と現在を行き来しているのかとも思えるし。実際、終盤の籠城場面では過去と現在がオーバーラップする。

    もうひとつ、見ていて変だと思ったのは、脇役の一人にふいにスポット照明が当たって、彼が客席に向かって突然ナレーションを始めるところ。劇中の人物がナレーターを兼ねるときはふつう、物語がその人物の視点で描かれることを意味すると思うのだが、この芝居ではそういうそぶりは全然なくて、ただ会話では充分に状況説明ができなかったので、とりあえずモノローグで説明しておこうという安易な発想が感じられた。




    0

    2009/10/20 20:59

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大