わが星 公演情報 ままごと「わが星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時間を切り取る潔さ
    一つの星の物語を語る中で、
    永遠ではなく誕生から滅失までのピリオドを潔く定めたことで、
    ヴィヴィドに刻まれる時間や
    一つずつの刻みのうちに秘められた
    いとおしい出来ことたちの質感が、瑞々しく浮かび上がってきたように思います。

    年初のtoiでも感じた
    圧倒的な時間の広がり方が、
    今回の柴作品ではさらに進化を遂げていて・・。

    この空間でしか体感しえないものに
    強く心を揺さぶられてしまいました。

    ネタバレBOX

    楽日公演をみました。

    劇場は大きな円形のスペースに置き換えられ
    いろんな段組みに並べられた座席の
    どこに座ろうかとかなりわくわく。

    前説でも観客に時間を強く意識させる
    工夫が施されていて。
    時間をしたたかに編みこんだ説明というか。
    そして、始まりのためのタイムスケジュール感に満ちた
    4からのカウントダウン。

    舞台にスタートの時間がやってきます。
    それは宇宙の誕生を思わせるような闇の中からの
    物語の始まり。
    ラップを思わせるリズムや時報の音で
    刻まれていく時間と
    その時間を進んでいく家族の物語。

    宇宙の物語と家族の物語が
    ちいちゃん(地球のち?)を要のようにして重なり合い
    ひとつの感覚を醸成していきます。
    家族の繰り返しと変わっていくもの、
    月と地球の関係の比喩。
    蜜月の時間や離れていく距離、
    配られていたアポロチョコレートの比喩も
    凄く効果的で・・・。
    先生の元で生徒がながめつづける星の行く末も
    次第に観るものを導いていく。

    限られた長さの時間軸があって
    その中でのさまざまなことが
    「刻まれていく時間」の中で動いていく感覚があるから、
    ラップのリズムに弾まれたそれぞれの一片から
    日々や時間の軽さと裏腹の
    密度の高いとおしさが生まれていくのです。

    さらには生まれて滅失していくものをながめる視座、
    虚星の光への思い、
    感じるものはすべて失われた時間の中にあるという感覚。
    過ごした刹那がもうそこにはないことへの
    切なさが広がります。

    その距離を超越していく姿、自転車で宇宙を飛び越える姿には
    何かを突き破るように溢れてくるものを感じて。
    厳然とそこにある空間や時間を
    さらに超越するような想いがやってきて
    まるで何かが降りてくるようにうるっときました。

    旨く表現できないほどの大きさを
    両手に抱ることができた充実感とでも
    いうのでしょうか。

    ほんと、やられてしまいました。

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    2009/10/14 03:04

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