満足度★★★★★
鈴木聡の人情喜劇はもはや神の領域だ。
鈴木聡の人情喜劇は、はずれがない。登場人物がみんなお人好しで、愛すべき人たちだ。斉藤幸子という姓名判断的に最悪の名前を持った娘は、その名前ゆえか、次々に不幸がおとずれる。しかし、本人のくよくよしない性格、そして周りの暖かい応援で、決して悲惨にならない。
この物語を通じて我々は作者から人生においてとても大切なことを教えられる。幸せか不幸せかは、起こっている現象ではなくて、それをどう捉え、どう行動していくかで決まるのだ。不幸が次から次へと起こる(というか不幸に向かってどんどん突き進む)斉藤幸子だが、それでもとても幸せだと思える。幕間をはさんで3時間。少しもだれることなくたっぷりと楽しませてもらった。
斉藤幸子を演じた斉藤由貴が好演していた。周りは芸達者で固めていたが、その中できたろうの愛情あふれる父親像がとても素敵だった。心洗われる芝居である。