花とアスファルト 公演情報 青☆組「花とアスファルト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    たとえクマが来ても日常は繰り返され、続く
    吉田小夏さんの、というか青☆組の雰囲気は肌に合うようだ。

    やっぱり、前作と同様に「品の良さ」を感じた。
    そういう視線で観ているから、そうとしか見えないのかもしれないが、生成りの衣装や木材そのものの装置の色合い、役者の会話、立ち居振る舞いなどにそれを感じる。

    ゆるやかな、日常の時間が過ぎていく。

    ネタバレBOX

    団地に現れたクマという異質の者は、いわゆるガイジンに他ならないと単純に読み替えることも、できそうだ。

    例えば、明治生まれの一世に厳しく育てられた、日系ブラジル人の三世が、団地にやって来たという設定だ。
    妙に丁寧な日本語と物腰だけど、細かいところでの表現がイマイチわからない。見た目は日本人なのだが(ここがクマとは違うところだが)、どこか外国人の印象があり、住民からすると、理由はないのだがなんとなく恐ろしい(猛獣のクマという見えている怖さとの裏返し)。
    そして、結局、その三世は日本には馴染めず、故郷が恋しくなってブラジルに帰ってしまう、と、いう話に読み替えられそうである。

    ただし、そう単純に読み替えてしまうと、身も蓋もないし、この物語の面白さがぼけてしまうかもしれない。
    クマはクマなのだ。

    観ていて思ったのは、「母」だったり「妻」だったりする人が、「三者三様ではない」ということだ。しかも繰り返す。
    ひょっとしたら、作者の吉田小夏さんは、団地の主婦は、毎日同じことを、単調に繰り返している、と思っているのではないだろうか。
    あるいはそういう単調さに「日常」を込めたのだろうか。

    いずれにしても、クマなんかが現れなくても、日常は単調ではなく、刺激に満ちあふれているということを見せてほしかった、とも思ったりした。

    ただ、どんな異質なモノが侵入してきても、日常は盤石であり、そう簡単には揺らぎはしないということなのでもあろう。

    アスファルト(団地の日常)にあっても、花(心のよりどころみたいなモノ)を見つけられる者は幸いということなのだろう。
    追いつめられて、雨の夜に団地の屋上に上がってしまう男のように、絵を描いているのに、「見る」ことができない者が多い。
    たぶん、「よく見る」ことでそれができるようなるのだろう。
    例えば、クマという外側じゃなくて、内側を・・・というのはベタすぎるたとえかもしれないが。

    クマにはそれができるのだが、日常に埋没してしまっている団地の人々にはそれができなかった。唯一、独身女性の鈴木さんは、その一端に触れることができたのだが、自らだけではそれ以上先には進めなかった。

    クマはそれを伝えに来たわけでもないのだが、自分の居場所はここではない、ということに気がついて去っていったのだろう。

    青☆組は年齢の幅があるのがとてもいい、年齢を増すことでの落ち着きだけでなく、繰り返しの日常からはみ出てしまった、いらだちのようなものも現れてくる。

    なんと言っても、クマ役の方が、「人のよさそうなクマ」を演じていたのがとてもいい。彼の、その存在で、この舞台の、異質なんだけど、異質じゃなくて、異質じゃないところが、実は違和感というような不思議な空気が生まれたと思う。

    そして、観ながら思ったのは、これって、パペットアニメで観たら、うんと楽しかったのでは? ということ。と言っても、舞台で役者が演じることを否定するわけではないのだが。

    4

    2009/08/05 04:11

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  • みささん

    やはり自分で読んでもストレートに書かなかったせいで、わかりにくいので、ほんの少しだけ直しました。と言うか、よく考えると、この一連のコメントを読めば言わんとしたことはわかりますよね(笑)。

    >案外、気に留めない性質なんですね。

    そうですね。あんまり気にしてないです(笑)。もっともご本人を見るのは2度目? ぐらいですから、「ああ、あの人が確か吉田さんだたなぁ」ぐらいです。

    2009/08/07 03:33

    >どうも文章がうまくないので、そうとれないのでしょうね。ちょっと書き換えてみます。

    いあいあ、ワタクシの解釈の仕方が悪いのかと。
    あきらさんの文章力には毎回、感服しております。書き換える必要はありませんよ。

    >そうですね。私もそう思います。ほどよい品があったりして。

    はい。あの関係性は人間同士の男女でも難しいですよね。
    出来たら、そんな友人が欲しいところなんですが。

    >小夏さんの雰囲気が変わったのは気がつきませんでした。確かに髪を結んでいたような。

    あははh--(^0^)
    案外、気に留めない性質なんですね。あきらさんらしいといえば、らしいですが。笑

    2009/08/06 13:10

    みささん
    コメントありがとうございます。

    ガイジンさんと読み替えられる、と書きましたが、そう読み替えて観たら身も蓋もない、という意味で書いたつもりでした。
    どうも文章がうまくないので、そうとれないのでしょうね。
    ちょっと書き換えてみます。

    私ももちろん観ているときは、やはりクマとして観てました。大きなクマなんだろうなぁと。

    >それでも熊の仕草を真似したキャストの力量

    同感です。においを嗅いだりなんていう仕草だったり。

    >クマが訪ねて来た時の住民のビクっ!

    つられて私もビクっとなっちゃいました(笑)。

    >ただ鈴木さんは揺らぎましたね。

    そうでしたね。だけど、自分の中からはやはり変われなくて、外(クマ)からの働きかけのみに反応しただけで、また、日常に戻っていく、というのはちょっと哀しいです。郵便間違いでもう1人の鈴木さんが訪れるぐらいの日々。

    >そのひとつひとつは鈴木さんにとってもクマにとっても至福の瞬間でした。あの関係性は羨ましくも思いましたよ。

    そうですね。私もそう思います。ほどよい品があったりして。

    >パペット
    ヨーロッパ風、それも東欧のパペットアニメのような作風が合うのではないかと思ったりしました。
    台湾の人形劇は、何年か前に映画になったりして(人形が主人公の映画)、日本でも公開されていましたが、勇壮な感じでした。

    小夏さんの雰囲気が変わったのは気がつきませんでした。確かに髪を結んでいたような。

    2009/08/06 03:51

    >三世は日本には馴染めず、故郷が恋しくなってブラジルに帰ってしまう。

    ひとの感性ってほんとうに面白いですね。ワタクシは最初から熊以外の何物でもない!と断じて観ていました。(^0^)
    川上の「神さま」に登場する神さまが熊だったように・・。
    だから、もうちょっと熊らしい格好でも良かったのにな・・、なんて考えながら観ていました。それでも熊の仕草を真似したキャストの力量で楽しく拝見できましたし、クマが訪ねて来た時の住民のビクっ!っとした恐怖感も面白かったです。

    >どんな異質なモノが侵入してきても、日常は盤石であり、そう簡単には揺らぎはしないということなのでもあろう。

    同感ですね。ただ鈴木さんは揺らぎましたね。もしワタクシが鈴木さんなら同じように揺らぎました。クマと一緒にピクニックに行ったりお茶を飲んだり、絵を描いたり・・。そのひとつひとつは鈴木さんにとってもクマにとっても至福の瞬間でした。あの関係性は羨ましくも思いましたよ。

    >青☆組は年齢の幅があるのがとてもいい、年齢を増すことでの落ち着きだけでなく、繰り返しの日常からはみ出てしまった、いらだちのようなものも現れてくる。

    ワタクシもキャストの年齢の幅はそう思いました。・・・いらだち、素敵な表現です。

    >パペットアニメで観たら、うんと楽しかったのでは? 

    ヨーロッパではこのパペットがよく使われます。面白いのはひとが集まる広場や道路で、屋台のような舞台でこのパペットを見せてるんです。その昔、日本でも公園で紙芝居があったように。
    そうして、台湾ではお祭りの日にこのパペットがヨーロッパとおなじような屋台で上演します。無料でした。台湾語は解らなかったのですが、「三国志」のような時代の武勇伝のような物語でした。ヨーロッパのパペットの衣装と違って、台湾のそれは重厚感があり観ているだけで楽しいものでした。それぞれの国の文化は素晴らしいと実感しました。

    そういえば・・・以前の小夏さんとちょっと雰囲気が変わられたようでアフタートークで自己紹介があるまで小夏さんと気が付かなかったですよ。髪を結んでいたせいでしょうか?

    2009/08/05 11:15

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