満足度★★★★
平埜生成(ひらのきなり)氏がとにかく凄い。
この役を完全に自分のものにしている。 他の人には再現の出来ない産物。顔芸、ダンス、タップと平埜氏の大暴れを熟練の超一流役者陣がガッチリ脇を固め、受け止め切っての後押し。ピアノの朴勝哲氏との息もピッタリ。初演の川平慈英氏バージョンも観てみたかった。(当て書きらしい)。
朝海ひかるさんが長身で吉田栄作氏との並びが綺麗。吉田氏はかつての井上順氏や布施明氏を彷彿とさせる味のある良い役者になっていた。シリアスな役柄の朝海さんが愉快に陽気に踊り出すと場の空気が一転してパッと明るく。
朝海・平埜コンビの『日野浦姫物語』をまた観たくなった。
戦後まもなくNHKラジオで尋ね人の放送を開始。そこに記憶喪失のサイパンからの帰還兵が訪れる。「私はだれでしょう」。