満足度★★★★
きっと、いまに気骨のある団体が現れると信じていた。
劇場自粛警察には、ほとほと、参っていたが、この公演は無駄な対策を止めている。滑稽でしかなかった切符のもぎり、場内マスクの強制、たけだけしい場内ご注意アナウンス、何よりよかったのは馬鹿々々しいとしか言いようのない席の一席明けを辞めたことだ。感染医学者がほとんど役立たないといっていることばかりだ。感染防止を言い訳にこんな愚行を重ねれば観客席は死ぬ。それが分かっている制作者がいたのだ。いや、演劇に関わるものは内心みなそう思っていただろう。さすが、シスカンパニー。5☆。
久しぶりの満席の客席。京王線の事故で途中入場者も多かったが、それもおおらかに許せる、小屋の客席の空気が戻っていた。観客は半年ぶりに演劇を心から楽しんだ。
さて、芝居の中身。先日、日生で同じような二人芝居「真夏の死」を見て、作者の切れ者ぶりはわかっていた。今回は現代劇。1時間足らずの短編だ。作品的には、三島のような線の太さはないが、作りはうまい。ことに後半の意外な展開には驚くが、人間関係が風俗的なので、三島の場合のような強靭な舞台を支える力がない。俳優も、現代風を意識したのか青年団張りのナチュラル志向で前から12列目くらいの席だったがセリフが届かない。残念。
政権が支配をあらわにしている牙城の新国の地下の貸し小屋でこの快挙に拍手。