第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020 公演情報 シアターX(カイ)「第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 ⒓日目 2020.7.9 19時
    本日も出演は3組、総ての演目がソロである。(追記後送、全体評価華5つ☆)

    ネタバレBOX

    Ⅰ:「想」は手柴孝子さんのソロダンス。石井みどりさん・折田克子さんへのオマージュと見た。(5つ☆)
    Ⅱ:長谷川康志さんによる朗謡「胎内にみる四億年前の世界」は、解剖学者・三木成夫さんの「内臓とこころ」を通して個体発生が系統発生を繰り返すという事実を証立てる朗謡である。解剖学者ならではの実証をベースに受精31日目から約1週間の間に人間の胎児が、海水の成分によく似た母の羊水の中で如何様な変容を遂げるのか、米粒程度のサイズの胎児が勾玉のように頭部を体の内側へ曲げた状態にあって、ラブカのような鰓を首に持つ時、その顔はどんな姿をしているのか? その翌日は? 僅か1日の間にどのような変容を遂げているのか? 更にその翌日は? 胎児が凄まじいスピードで先祖が辿ってきた進化の歴史をなぞってヒト型になるまでのどの辺りで母体はつわりを生じ、その時の母の表情はどのようであるのか? 等々が、三木博士の観察を基に綴られ個体発生が系統発生を繰り返すドラマが迫真のリアリティーを持って迫ってくる。(5つ☆)

    Ⅲ:Mikaさんのダンス「Latin FANIA」は、大野慶人さんが彼女のダンスパートナーに贈った杖を用い、キューバの病と医療を司る神・ババルアジェを踊った。個人的な話題になって恐縮だが、舞台を観、リズムに乗り乍ら、体が勝手に反応する。そういう次元のパフォーマンスであった。評価等糞喰らえ❕ なのだ❕ この踊り(ダンス)は、ダークマターがその殆どを占める宇宙に於いて光に吸い寄せられる命の余りに哀切な関係をダンスという形を通して直接化し得た稀有な、命そのものの例である。伝説の舞台・土方巽さんの生舞台を拝見していない痛恨の記憶が、今作を拝見し得たことによって、自分の人生の中で少しだけ軽くなったような、つまりこの舞台自体が新たな伝説になるような舞台であった。よって☆は、コリッチの評価には存在していない。華6つ☆だが、存在していないので現実に表すのは華5つ☆+スタンディングオベーション。後記:これ程素晴らしい踊りなので寿がれる神の退出と共に、演者も消え、アフタートークにはいらっしゃれなかった。このような謙譲も我ら愚かな人間には生き方として必要と思われる。三千程度の生舞台は観ていると申し上げた、そのうち、観劇後、椅子から立ち上がれなかった程のショックを受けた大阪の劇団Mayの作品「風の市」と、意味内容は対照的であるが、今作は双璧を為す。表現する者達の本質に根差した力を体得させるに充分な舞台であった。

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    2020/07/11 12:05

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