無論タイ語で書かれた作品だが、その原題を英訳すると「Where should I lay my soul?」、日本語タイトルが「安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI」である。内容的には、無論日本語タイトルに表されているように官幣大社であったYASUKUNIに大いに関係する作品であるが、その評価は、かなり客観的である。無論、原作者は実際に靖国も遊就館も訪れており、此処に書かれている外国人向け英文の説明を読んでも居るし展示物も見た上で執筆しているが、海外から見た日本、海外で教えられている日本の歴史と靖国及び遊就館に書かれている説明には齟齬が多いことも知っている。であればこそ、人を殺すという行為を罪とし、戦争一般を俎上に載せた作品として描いているのである。その意味で今作は、普遍性を持つ。而も極めて興味深いこととして今作の構造が能の表現に近いということが挙げられよう。無論、観阿弥・世阿弥父子が理論家しソフィスティケイトした後の能より大和猿楽の伝統を色濃く残した段階の能ということではあるが。坂手氏が、書いてきた作品群を自ら評して夢幻 能と言っていたことと考え併せても極めて興味深いのである。