東京ノート 公演情報 青年団「東京ノート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    東京ノート実質初見がInternational ver.であり、良い方のインパクトを受けた(おまけに青年団的演技の新局面か?等と)。そのためか、オリジナルバージョンは従来の青年団現代口語演劇に「戻った」感じがあった。やや中心に位置する松田弘子・能島瑞穂のイイ感じも前回と変わらないはずであり見ていて特段変化はないが、多様な異質の中での光り方は違う。インターナショナルバージョンは設定じたいドラマチック。細部がよく出来ているのは今回のオリジナルの方であったりするが、群像として見る訳であるので、そういう感想になった。
    欧州での戦争のため、美術品を皆遠い他国に送り出すことになっているらしい、という設定は、広い欧州のかなりローカルな地域までも戦闘(美術品が損壊するような)が及ぶ程シビアなのか、とか、ゆったりとした戦争なので人類の遺産保存等の公益を各国考える余地がどの国にもある、という事なのか(若しくは美術品保存団体が活発な運動を展開している、当事国同士のそれは合意事項となった)、とか。やや特殊な状況が近未来に発生する、そういう想像を客席でめぐらすのは悪くないが、戦争の実態が殆ど語られない中では「戦争」の語がドラマ性を担保する記号としては、いまいち機能しないな、というのが実感。作者がそれを狙ったか否かは判らないが。
    そんな事で、戦争、美術品の保存、という世界大の「公」の視野と、美術館の中で展開する「個」的なあれこれの対比が、インターナショナルverでは「数カ国の人間が居る」状況から明白であるのに対し、オリジナルverでは皆日本人であるので遠いヨーロッパとここ日本という対比のみとなる。そこで「個」が強調されるが、個々それぞれの事情の切実度の見え方が前回とはやはり違うなァ(従来の青年団劇だなァ)と。

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    2020/03/04 08:50

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