会社の人事 公演情報 一般社団法人横浜若葉町計画「会社の人事」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    通りに面し時折エンジン音が間近に通過する会場だが、「演劇」の魅力的な発生地である事をまた一つ実証したと満悦至極(単なる好みという話も..)。昨今痛感する事は、演劇も芸術もゼロベースで、白紙の心で鑑賞してこそ深く飲み込めるもので、期待(想定)に応える力量を持った出し物も良いが、芸術の価値という事を考えるに、観る者を裏切ってナンボでないか、と。若葉町ウォーフで観たパフォーマンスは既に多分10を数えるが全て、鑑賞前にゼロ地点に観客を連れて行く空気がある、と感じる。
    さてお芝居。ユニークな作品だ。30年前に書かれた戯曲だという。ただし「平成の30年」という台詞もあり、今回のために書き改めたらしい。三人の会社員が物語の主たる構成員で、皆おっさん。他の三人は、超越的存在もしくはおっさんらを近未来から眺める存在(皆若者)。「会社」で起きている具体的な事象はうまく掴めなかったが、不思議な味のある台詞が劇空間に浮遊して心地よいものがある。
    30年前すなわち1989年ベルリンの壁崩壊から雪崩打っての1990年冷戦終結。言及される地下鉄サリンと阪神淡路大震災は、その5年後だ(今回の加筆という事になるが隔世の感が半端ない)。
    歴史を俯瞰した心象風景を刻み付けようとする言葉は根源的な「何故」の問いであり、人を共通の土俵に立たせる。私の好みである。予め答えが決まった問いが純粋な問いとして発せられる道理はない。利害を離れた問いの多くは人を解(真理)に向かわせ、競いつつも協力していく光景を生み出す。学生の頃は見慣れていたはずなのに、人生でそういう瞬間にあと何度巡り合える事だろうか。

    ネタバレBOX

    全く本題を外れるが、投票し損ねた2019年ベスト10公演をこの場を借りて。

    1位 文学座「スリーウィンターズ」
    2位 こんにゃく座「野物語」
    3位 ひとみ座「どろろ」
    4位 ドガドガプラス「肉体だもん・改」
    5位 ファーミ・ファジール&山下残「GE14 マレーシア選挙」
    6位 SPAC「RITA&RICO「セチュアンの善人」より」
    7位 岡崎藝術座「バルパライソの長い坂をくだる話」
    8位 桟敷童子「獣唄」
    9位 KAKUTA「らぶゆ」
    10位 ラッパ屋「2.8次元」

    その他捨てるに忍びなかった作品群。
    ・うりんこ「わたしとわたし ぼくとぼく」
    ・演劇アンサンブル「クラカチット」
    ・bunkamura「唐版 風の又三郎」
    ・風姿花伝「終夜」
    ・鳥公園「終わりにする、一人と一人が丘」
    ・新国立劇場「オレステイア」
    ・新国立研修所「るつぼ」
    ・文化座「アニマの海」
    ・bunkamura「キレイ」
    ・第27班「潜狂」

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    2020/01/15 04:12

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