男の60分 -東京場所- 公演情報 ゲキバカ「男の60分 -東京場所-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    甲子園のように。
     コーヒー牛乳は疾走する劇団だ。

     64分、全員が全力で取り組んでいるところが、すがすがしい。見終わった感想は甲子園(高校野球)だと思った。プロ野球のような派手さや華やかさはないけれど、純粋で全てに全力投球する姿勢は、プレイの巧拙を超えて、見る者全ての心を掴んで離さない。

     無邪気な子供のたわいのない遊びにさえ全力で取組み、観客は笑って見ながら、ふと気がつくと、それって相当鍛えられた肉体がないと出来ないよねと、気がつかされたりする。

     純粋だった子供の頃の想い出と、主人公の母親を思う愛情と、あらゆるものがきらきらと光ながら、全ての想い出が美しい。宝塚とは真逆なところで、とても美しい芝居だと思った。

    ネタバレBOX

     母親が死に久々に実家に帰ってきた兄弟。兄は子供が生まれる直前である。実家に帰って久々に兄弟でキャッチボールをすると、少年時代の想い出が走馬燈のように浮かんでくる。田舎の仲のよかった友達、そして美しい風景、そして優しい母親、そういった光景が次々と浮かび、懐かしさに浸っていると、今度は自分の子供が生まれたという知らせがくる。いよいよ自分が父親になる番だ。色々な想いが一時に押し寄せる。

     ものすごく美しいドラマをまるで体育会のように、男のまつりに仕上げてみせるのがこの作品。全ての男性は懐かしさに胸を締め付けられ、全ての女性はきらきらと輝く男達に嫉妬を感じるドラマである。

     劇の途中で客いじりをしているシーンがあったが、そこだけ余計だった。そんなことしなくても十分面白いのである。

    一歩間違えればただのドタバタで終わってしまいそうなドラマを、鍛えられた肉体としっかりとした演出が、ぎりぎりのところで引き留める。そのぎりぎり感もたまらなく魅力だ。1時間で2時間分以上の堪能が出来た。癖になりそうな劇団ではある。

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    2009/04/29 00:15

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