満足度★★★★★
座席1階
青年劇場でたびたび演出している藤井ごうさんが劇団側にやってみようと提案した演目という。アメリカ近代戯曲の代表的作品とか。青年劇場としては異色の作品だと思うが、見事な出来栄えだった。
舞台は二人の女性がつくった寄宿舎学校。ある女子生徒がついた他愛もないウソがきっかけになり、二人の女性の人生を狂わせていく。ちょっとしたうそ、フェイクニュースをきちんとただすこと。インチキばかりあふれる日本社会への警鐘となる舞台でもあった。
ダブルキャストでマチネとソワレを敢行するハードスケジュールだが、その女性の二人のうち一人、マーサ役とうそをつき続けるメアリー役はシングルキャストだ。この重要な役どころの二人の演技が出色だった。特に、メアリー役の片平貴緑さん。こうした若い役者が躍動する劇団には力がある。もっとこうした俳優が出てくるといい。
登場人物のほとんどが女性というこの舞台。それぞれがきっちり仕事をこなしたという感じだ。学校という設定で、壁のデザインが黒板にチョークで描かれ、それを役者が消してまた描くという演出も見事だった。
物語は、救いようのない結末である。だが、アトリエを出た瞬間、「おもしろかったぞ、これは」という満足感に浸ることができる。2019年ももう終わるが、これを見ずには終われないそ。