死に顔ピース 公演情報 ワンツーワークス「死に顔ピース」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/10/31 (木)

    中野ザ・ポケットにてワンツーワークス『死に顔ピース』を観劇。
    遅かれ早かれ誰にでも訪れる《死》。人間の最期の迎え方、過ごし方について、医師・看護師・患者・その家族など様々な立場の視点から鋭く斬り込んだ、とても考えさせられる内容でした。国民の2人に1人がガンになると言われている現代社会において、決して他人事では片付けられない問題だと思いますが、今まで漠然としか考えていなかったものが、今回の作品を拝見したことで、一気に身近になったというか、何となく一つヒントを得たしたような感覚になっています。とはいえ、当初、物語の中に登場するガン患者と家族が、死を受け入れて笑って過ごしている部分に違和を感じましたし、あまりにも大袈裟過ぎないかとも思いましたが、この日のアフタートークで「実際の現場のケースに似ている部分がある」との話を聞き、その違和感はスーっと和らいだような気がします。この考え方は今まであまり持ち合わせていなかったので、発見になったと同時にとても勉強になりました。もちろん人の生き方はそれぞれですし、何が正解で何が不正解なんていう考え方もないと思いますが、どんな人間でも必ず死を迎えるというのは決定事項なので、それなら少しでも一秒でも長く笑って楽しまなきゃ損、…いや、損得感情では到底片付けられない深い問題ではあるものの、少なくとも自分個人としては、今回の作品の中に登場する患者の生き方に共感出来る部分は多いような気がしたので、出来る限り楽しみながら死を迎えたいなと感じました。(まぁでも実際に死を意識しなければならない事態に直面したら、恐らくネガティブな発想しか生まれて来ないだろうな…。その際はこの作品を思い出したいところ)。ちなみにこの作品の中で大きなテーマとなっている「どこで死にたいか」の部分に関しては、やはり「自宅」と答えてしまうような気がしますが、その時の家族構成だったり周りの環境によっても変わってくるような気もします。結局難しい問題だと改めて感じました。
    ワンツーワークスさんの作品観劇は昨年の『善悪の彼岸』以来1年ぶり4回目でしたが、毎度の事ながら観客の心に突き刺さる何かがあるような気がします。様々且つ身近な社会問題を独特の鋭い視点で斬り込む作風はお見事。物語の世界に引き込まれる感覚を強く体感します。冒頭のテンポをズラした動作パフォーマンス、統一感も素晴らしい。演者さんでは奥村洋治さん、藤敏也さんが特に存在感あると感じました。YAMAさんの大道芸はずっと見ていたいと思えるスゴさがありました。まさにプロ。上脇結衣さんはドラマの印象が強かったですが、舞台での演技もさすが。みとべ千希己さん、小林桃子さんは感情表現が素晴らしかったです。小熊綸さん、榊原あみさんの娘役2人も好演。藤村忠生さんも味のある芝居が印象的でした。とてもよく研究し創られた脚本、演出、メッセージ性などどれを取ってもさすがワンツーワークスさんだと感じました。

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    2019/11/04 23:58

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