さなぎの教室 公演情報 オフィスコットーネ「さなぎの教室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★








    時系列やシーンをバラしてパズルを解くのではなく、淡々と示していくような展開だ。それはまた不条理的でもあり、その平坦さは退屈を感じさせている。



    前説から「暴露」しているのでネタバレには ならないが、元看護師女性を脚本・演出の松本が演じている。代役だ。率直に述べてはこれは正答でもあった。なぜなら九州弁と地元っ子(コワモテ)ぶりは男性だからこそ「男性・性」(男性というわけではない)を再現しやすいし、狭い狭いインナーサークルを支配する心理学的根拠を与えていたからだ。相手に親身になる同調をみせながら、ある局面では、いっきに怒る。つまり、それは上からのチョイスでしかない。



    そうやって支配された元看護師コミュニティの、「絶望」と「従順」は、たしかに日本社会に言われている闇でもあり、悲壮なまでに「石井」という固定ワードを連発されるシーンは、いみじくも保身への回避が従う側を従わす歯車に転化する、人間の滑稽さを象徴していた。



    そして、強調しておきたいのはシュールであるということだ。インナーサークルの女性4人。しかし呼び方は「ちゃん付け」でも「名前」でも「ニックネーム」でもなく、苗字となっている。それが何を意味するのかといえば関係の薄弱である。いや、それだけで距離があるとは断じえないのだが、「夫」や「母親」といった家族の重みと このサークルを相対化したとき、あまりに内部でのパッションだとか、結束が欠けている。それどころか、支配する頂点にたっている女性以外は、確実な部分で感情を失っている。その、結果との落差に驚かされることになるのはつゆぞの観客席だ。





















    ネタバレBOX









    とても恣意的だと思ったのは、この物語が「実話」だったことを明らかにする舞台装置だ。それは2002年ワールドカップにおける、来日騒動が、ふと食卓の話題に のぼったことだ。これによりリアリティが増した。今までは固有名詞を ほとんど閉まっていたのに、このシーンをきっかけに「実話」だと、宣言したようなものだった。そして、終演後、やはり頭に浮かんでいた事件を題材にしていたことがわかった。

    チラシに ばっちり書いてあったけど。


    「予行」のシーンは笑いの終始であったが、これは、前説で演出だと明らかにされていたからである。シビアすぎる内容なのに。


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    2019/09/03 00:58

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