満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/17 (土) 13:00
太宰治や島崎藤村、岸田國士の作品が、江戸川乱歩や夢野久作に縁取りされると立派なサスペンスやホラーに聞こえる。まあ、そうした心理劇を意図的に選んだということもあるんだろうけれど。こういった作劇だと、劇団員の個性を満遍なく見渡せてとても楽しい。
齋藤さんのコケティッシュだが得体のしれない妖しさ、岩井さんの禍々しい力量感、七音さんの腹に一物を抱えた背徳感。それぞれに良かった。2時間という長さも、バリェーションと、適度な作品の刈込で飽きることなく楽しめたし。「押絵と旅する男」「赤い部屋」というチョイスもちょっと意外だけれど、よかったと思う。大きな箱があったので(とはいえ人が入るには小さかったけれど)「お勢登場」か「人でなしの恋」かと思ったのだけれど。
夢野久作は、劇団の特性からして「少女地獄」の「火星の女」か「何でもない」かとも。