桜の園 公演情報 青年団若手自主企画『西村企画』「桜の園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    桜の園は、花見客で一杯の夜の上野公園になっていた
    「桜の園」がミュージカル、いや妙ージカルになる、というだけでかなり期待して観に行った。

    で、どうも、なんというか、桜の園は、まるで上野の山あたりにあって、そこでは花見客が大騒ぎをしていたような印象なのだ。

    いろいろ面白そうな企みはあったのだが、未整理のまま全部入れてみました、と感じてしまった。
    ただし、本当に「桜の園」が上野の山のような乱痴気騒ぎなっているならば、それはそれで面白かったのかもしれないが、統制のとれていない単なる大騒ぎのようだったのだ。

    母親役の石村みかさんの健闘が特に印象に残った。台詞も歌の量もかなり膨大なのにもかかわらず、台詞も歌も踊り(のようなもの)も、思い切りがいいのか、とても良かった。

    また、色々な役を演じていた鈴木智香子さんも、健闘していた1人なのだが、前に観た髙山植物園『天の空一つに見える』での、とても丁寧な演技と比べてしまうと、その良さを引き出せていなかったように見えた。

    結局、桜は、日本的には、大騒ぎの象徴なのかな。
    エネルギーだけは伝わった。

    ネタバレBOX

    主要人物ではない、脇の登場人物たちは、その衣装や小道具(カツラやギターなど)によって、誰が演じても同じのようにした、つまり、記号化されていたのだが、それによって面白い何かが生まれることなく、単にガチャガチャした印象になってしまっていた。
    その分、歌のところの、前に出るようなエネルギーが芝居との「差」として現れてこないため、メリハリに欠けてしまったようだ。

    また、妙ージカルのキモとも言える、歌の部分、特に激しく叫び、歌うところは、文字通り、叫んでいるのだが、シャウトではなく、無理して声を張り上げていただけで、叫んで歌うというノドになっていない人のそういった声は、キンキン耳に響くだけで、歌詞が聞き取れないだけでなく、やや不快ですらあった。
    台詞や普通に歌うときには、とてもいい雰囲気なだけに。

    その「不快さ」が演出の意図ならば、効果があったと言えるのだが、意図としては伝わってこなかった。
    単に声を張り上げただけでよかったのだろうか、本当に張り上げなくても、それと同じ効果が上がる方法はなかったのか、と思うからだ。

    歌のメロディーが良かっただけに残念である。今も耳に残るメロディーがいくつかあるぐらいだし。

    途中で、何人かの台詞が完全に重なって(同時に別の会話が行われていた)何を言っているのか、ほとんど聞き取れないところがあったのだが、並行して何かが起こっていることと、本筋とはあまり関係がないことで、そのような方法をとったのだろうか。
    もし、そうであれば、思い切って、台詞自体をカットしてしまうか、台詞を短くしてしまったほうが良かったように思える。台詞があれば、観客としては少しでも何を話しているのかを聞き取りたいと思うからだ。それは、台詞を「音」として楽しんでもらう、という意味とも異なっていたし。

    最初のコーラ一気飲みはかなり面白く、今回の舞台全体の面白さを期待させたのだけど・・・。

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    2009/04/14 18:36

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