満足度★★★
自由・解放、復讐・報復といった人の心にある善悪のような表現。しかし、そのような2項区分はあまりに表層すぎて、この物語の伝えたいテーマが暈ける。主人公カールの放蕩ぶりは、ある意味「自由への希望」であり「社会秩序」への挑戦だったようだ。「群盗」のリーダになり心の葛藤を呼び起こされる。自分が願った権力への復讐は、同時に法を傷つける。自由は秩序と相容れない不条理、理想と現実のせめぎ合い、そこから生まれる妥協という産物に絶望感が漂うようだ。
この公演、冒頭は取材シーンという現代劇であり、本編になると原作当時(18世紀)のような情景になり時代設定が判然としない。敢えて曖昧にしているのか、気になるところ。また原作と異なり重要な役所を男から女へ変えているが…それであればもう少し男女にした意味があるような展開があってもよかった。
(上演時間1時間50分)