満足度★★
鑑賞日2019/07/12 (金) 19:00
タイトな舞台ではあった。実在の人物や事件に題材を取る劇団「パラドックス定数」の主宰の野木萌葱の書き下ろし新作は、イエスズ会司祭であり古生物学者でもあったテイヤールを軸に、信仰と進化論の対立を描く。クリスチャンではない私(と多くの観客)にとっては、違和感、というほどではないが、素直に腑に落ちて来ない題材を選んだことで、評価の難しい作品になってしまった気がする。演出は新国立劇場の芸術監督である小川絵梨子が担当するが、特別なことをしているわけではないように思う。テイヤールの置かれた立場や周囲からの処遇を軸にするのではなく、テイヤール自身の内面の葛藤を扱っているように思えて、それが巧く表現されきれていない気はした。