満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/07 (日) 14:00
座席1階C!列
この「骨と十字架」も、全くの予備知識なしで拝見。何の話かも知らずに拝見すると、神父らしい装束で、皆出てきて、どうやらバチカンの話らしい。では、いつの話かしらんと思っていると、どうやら創世記の話と進化の話が出てきて、19世紀以降の話だよね、と思っていると、北京原人の話が出てきて、登場人物を「シャルダン」と呼んでいて、えーっ、ティヤールド・シャルダンの話かい、と気づいた。そうだバチカンが進化論を認めたのって、極々最近だということに思い至った。
話の体裁が、何とも中世的な感じがしたのだけれど、確かシャルダンって、現代史の人だよなあ、こんな議論がまだ半世紀ちょっと前にもあったんだ、とすごい隔世感。
内容は信仰と科学、そしてシャルダンへの敬愛と同情を感じながら、自らの信念に忠実にあろうという人々の物語。なかなかのハードボイルドなストレイトプレイ。
プレビューという位置づけで、アンケートなどを手掛かりに、3日間のインターバルで直しを入れての本番となるそうですが、これ何直すんだ?というくらいの緩急挟んだ、しっかりとした出来。演出の小川さんが前説で、アンケートの協力を切にお願いしていましたが、
役者の巧拙も含めて、何を注文すればよいんだ?好奇心から、アンケートを拝見したいくらい。
神農直隆、伊達暁、佐藤祐基、3氏のエッジの効いたセリフ回しに、小林隆、近藤芳正両氏の穏やかかつ強いセリフ回しが絡んで、各役の懊悩の物語をすんなりと聞かせてくれる。そして、各人の階上、舞台内での立ち位置が、それぞれの心情をうまく表現していて素晴らしい。動揺、不安、懐疑、決意等々を、セリフなしで感じさせてくれる。
好みもあるとは思うけれど、小川さんの新国立劇場演劇部門芸術監督就任後の最高傑作ではないか。