満足度★★★★★
面白かった!!!なんだか、飛び出す絵本のような、なんていうんだろう。ある種、「退屈」を俯瞰するところもある戯曲であるのに、「え?なんと!」とか、「こーきた?」とか、どきどきする演出だった。今回は、大高洋夫さんのご出演ということで、観劇を決めたが、演技も、演出も、訳も、舞台美術も、ある種、ベケットの戯曲を楽しんでやっている印象。
いやー、面白かった。
今回舞台が円形。それを取り囲むように客席。私たち、観客は俯瞰で観ながらも、ふとした瞬間にこの物語の中に溶け込む。舞台にいる二人からは観客の私たちも「待っている」なにかなのだと。ある意味簡素な舞台美術にみえるが、よくよく、観てほしい。コンクリートの隙間から延びる雑草、無遠慮に捨てられた吸い殻、誰かの旅を途中でやめた時に脱ぎ捨てられた靴、いろんな破片が散らばっている。好きな舞台美術だった。
演出上、あのようになったとは思うが。従来、ウラジミールとエストラゴンは年齢がいってるのだが、観ながら、時折少年のような小宮さんと大高さんのはつらつとしていて、尚且つ、ウラジミール(大高洋夫)のエストラゴン(小宮孝泰)への友情のような、母の愛のような、終始、嘆くエストラゴンをフォローする感じが優しいあたたかな空気を持っていて、大高さんの笑顔と一緒にとても素敵だった。より、二人の性格と関係性が浮かび上がる演技だったと思う。「待つこと」は「寂しい」でも、「待つこと」しかできない。誰が現れて、どうなるのか。明言されてないが、人は待ってしまうものなのかな?と改めて思った。自分で動くのは勇気が必要。文句を言いながら、待つことを選ぶ方が少し、楽なのかもしれない。来ないかもしれない「ゴドー」を待つ間は、退屈だけど、他者に責任をゆだねて自分の存在意義を確認できるのかも。私は誰を待ってるのかな?
そして、KAATの劇場スタッフの方は、いつも細やかな対応で気持ちがよい。
予想よりも、かなり、面白かったし、大高洋夫さんの素敵度数の高さに、倒れそうでした。
お怪我なく、楽まで善き公演になりますように。
もう一回、ジジや、ゴゴに逢いたくなってきた。
昭和・平成ver.を是非、観てほしい。
私が高校生時代に心打ちぬかれた大高洋夫さんがとても、素敵すぎる舞台だから。新訳も、演出も、共演者の皆様も、この舞台は凄い。kaat.jp/d/Godot
今回の翻訳は私が以前買ったものより、かなり、現代の言葉に近く
耳に入り易くなっていた。ただ、個人的にはラッキーの「考えろ」と言われて、突如朗々とあの長い台詞を言う場面は物足りなかった。