獣の柱 公演情報 イキウメ「獣の柱」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ありえない超常現象を、リアリティーをもって舞台に引き起こすという点で、前川知大のイキウメは抜群のセンスと力量を持つ。今回も、高知の片田舎の隕石拾いの話でしっかり足固めしたうえで、人々に幸福感を与える巨大な柱が空から次々降ってくるという超大風呂敷を現出させてしまう。あっぱれというしかない。その転調の頂点ともいえるのが、主人公の二階堂進が消える場面。そこでは観客の時間さえも恍惚感のなかで盗まれていた事が分かり、我々も舞台の異常現象の当事者になってしまうのだ。

    柱は人が増え過ぎた都会を壊滅させ、人々は田舎に分散して暮らすようになる。作中でも言及されるバベルの塔の暗喩につながるものがある。2051年の世界では、新しい暮らしを始めた人々の間で、昔と同じように有力者の身勝手が始まり、それにへつらうおべっか使いが増え始める。決して前面に押し立てるわけではないが、現代文明批評の要素もあることはこの劇団の強みである。

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    2019/05/19 20:21

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