満足度★★★★
鑑賞日2019/03/15 (金) 19:00
チョコレートケーキの古川健書き下ろし作品を、俳優座のベテランたちがアトリエ公演で披露した。ソ連参戦と前後して国家に見捨てられ、塗炭の苦しみを受けた満蒙開拓団の物語。
古川さんのことだから、緻密な取材をベースに練り上げた作品なのだろう。貧しい田舎の信州から新天地を求めて開拓団に加わった3家族は、お互いに協力をし合って開拓を進める。与えられた入植地が先住中国人がまだ開拓する前の土地で、開拓地を安く買い叩いて中国人を追い出した土地でなかったこともあり、中国人との軋轢がなく、地元民との協力関係があったことが、その後の開拓団の運命を左右する。
悲劇一色の開拓団がほとんどだと思うが、このような恩返し的な歴史があったとは、史実なら救われたような思いがする。それは、学問があるとか地位があるとかいう前に、人間としてどう他民族と付き合うかという根源的な問いを突きつけている。
休憩含み3時間近くの舞台だが、最後まで食い入るように見た。