満足度★★★★★
生きた家畜(牛や豚)を屠殺、解体加工するという職業。
休憩室には二人の解体職人。
舞台に存在するお二人は見事なまでに、発する台詞のひとつひとつ、表情、何気ない所作に至るまで全てが、本当にそこで生活で送る人間そのもの。
包丁の研磨室を休憩室に使っている様子など、見たことの無い業界ですがガッチリ雰囲気を掴んでいるのだと思えます。
やがて休憩室に入る「延髄」紛失事件の連絡と、間の悪い珍客(正体はネタバレになるので自粛)
職人二人に引けを取らない活きた登場人物の登場!
そう、この一見場所違いな珍客の存在が3人の絶妙なコミュニケーションを大きく揺さぶり、更に滑稽で深刻なドラマ空間へと仕立て上げていきます。
職業モノとしても考える部分が多くとても感慨深かったですが、より味わい深く伝わってくるのは、その仕事に携わる人達の日常から滲み出る感情、ひょっこり顔を出す感情、事件に巻き込まれて思わず噴き出し露呈する感情の数々。
不満、狡猾、自尊心、傲慢・・・特殊な職場の中、あまりの人間臭さに思わず笑ってしまう場面は多く、何よりその時々においての状況場面が逐一面白くて期待通り、いやそれ以上の濃厚な男芝居でした。
※「延髄」を紛失すると品質検査が出来ない為、せっかく解体した肉が出荷不可能となってしまします