いたこといたろう 公演情報 渡辺源四郎商店「いたこといたろう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    二人芝居。イタ子とイタ郎の話、ではなかった。年増の女と若いめの女が初対面し、二人を取り巻く関係の過去と現在が会話から立ち上がって来るうまい脚本だが、お祓いやホトケオロシの場面が頻出するイタコ三昧な芝居でもあった。これが一人芝居だろうが息を上げる事なくやり切るだろう三上晴佳と、対するは林本恵美子なる初目見えの女優(年増役)。繊細さと大胆さとで緩急を作りながら、「事実」に関する言及は言葉でなく微妙な演技で伝えるところはさすが。であるが、畑澤の演出は禁欲的で、分かりやすい音響効果等は使わず、せいぜい照明の変化で、あとは役者が生身の演技で伝える。役者への信頼だろうか。

    イタコについて印象的な芝居に『イタコ探偵工藤よし子の事件簿』がある。この芝居では、登場人物が視ているテレビのサスペンスドラマの人物が「現実」にも浸入してくるのだが、悩みを胸に仕舞い込んでいた女性の前にふいに現われたイタコ(工藤よし子)は、イタコの業に関するネタバレを口にする。「イタコは三つの事しか言わない」として、シンプルな言葉を挙げると、女性の胸の中に築かれていた堰が壊れ、号泣してしまう、という展開なのだが、「心配しないで」「ありがとう」・・正確には忘れたが、要はクライアントの心のつかえをとり、生きる背中を押してあげるのがイタコなのだ・・という説明がなされていた。
    これを念頭に、という訳でもないが、演じられているイタコの憑依を見ながら、「実にうまく演じられている」のか、実は「本当は憑依されている」のか、今どちらなのかを注視する。イタコは「癒やし」の仕事だ、との観点を貫徹して見るもよし、そこを保留して(憑依があり得ると考えて)見るもよしだが、この違いは大きいと思われた。

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    2018/05/06 04:23

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