満足度★★★★
鑑賞日2018/04/20 (金)
1948年に書かれたこの物語が、今この時代にリンクする恐ろしさ。
思考することも行動することも全て監視され、制御されている。それに反したものは、消されていく・・・・。
全てのデーターが消され、人々の記憶からも消されていく、初めからそこにはいなかったことになる。
一人の男の思考の中にいるのか、それとも彼の住む世界に私がいるのか・・・繰り返される場面、台詞に不安になってくるし、恐ろしさが募ってくる。斜めの床に座っているような気分、ずり落ちそうになるのを必死にこらえているような落ち着かなさ。
今の私たちもネットを使うたびに監視されてるかもしれないし、テレビの報道は実際に印象操作ばかりしている。与えられる情報が真実とは言えないと、このところすごく感じています。
私たちに真実を知る機会は本当にあるのだろうか。
井上芳雄くんの体当たりの演技はすさまじかったし、追い詰められた人間はまさにああなると思う。
神農直隆さんの声が大好きなんですが、あの声でどんどん洗脳されていく・・・・・あせる追い詰め方が尋常じゃないんです。
大好きな声なのに、ものすごく怖かった。
ぞっとしたのは何気ない食事のシーンの繰り返し、リアルな演出も怖かったです。
最前列の席は、かなりハードでありました。
小川絵梨子さんの鋭い視点、見せ方の上手さ、客の追い込み方の上手さ、さすがでした。
肝が冷えた私です。
素晴らしく怖い舞台を、ありがとうございました。