暮れゆく箱庭の中で 公演情報 PAPADOG「暮れゆく箱庭の中で」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     序破急の内、破までは帰ろうか? と自問する程、陳腐な展開。尤も下らないギャグや女子の子供っぽい振りをしたじゃれ合いの中に若い女性が笑えるよういなネタは仕込んである。いずれにせよ急に入った途端、総ての意味が明らかになってくるので途中までの冗漫は一種のカモフラージュ及び状況の深刻さを際立たせる為の対比と解釈しよう。(追記2017.12.8 01:40)

    ネタバレBOX


     何れにせよ、多くの観客が理解不能な作品ではないだろうか? 問題は主人公の朱音が多重人格者であることに気付くか否かなのである。これに気付けば問題は氷解する。舞台は、学内の余り誰も寄りつかない場所か、彼女のクラスで展開する。そのクラスで消える人々がある謎や風紀委員が矢鱈登場する謎、そして茜の親友であり、優等生、スポーツ万能の真白が担任教師と不倫関係にあり而も彼に貢ぐ為にウリをしているという不可解にも解が得られるのである。
     クラスで消える人々の謎は簡単であろう。総てが、朱音の別人格だからだ。だから、彼女を守る男子は、彼女と性的関係も無いのに、彼女が常に隠していたリストカットの傷を知っている訳だし、彼女を守る盾として女性より膂力の強い男性なのである。また真白がウリをしているのは、彼女の女性の武器である肉体を売って男に貢ぐという汚れ役を代替わりすることによって朱音を守って居る存在なのであり、更に深読みすれば、大人と権威の象徴として描かれている教師自体がもう独りの朱音の分身である。そうであることによって朱音の内部に社会が完成し、分裂体としての自己の安定性を得るからだ。
     これらの代償行為(自己欺瞞)を指弾するのが風紀委員たちである。これも簡単に理解できよう。従って彼らも実際に存在してはいない。
     さて、基本的な種明しはした。ラストをどう解釈するか? それは各々で考えて頂きたい。

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    2017/12/01 12:59

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