満足度★★★★★
劇団昴ザ・サード・ステージ公演の舞台であるにもかかわらず、脚本・演出が古川健
日澤雄介のコンビということで、劇団チョコレートケーキの色濃い骨太な舞台。このコンビは、時代を切り取らせると本当にうまい。宿命に流されず、運命に偏らず、それでいて時代の中でもがく人間描写がいつも胸を打つ。
ドイツを扱った舞台ということで、青年座の「旗を高く掲げよ」をすぐ思い出したけれど、あちらも脚本は古川健氏だったよなあ。そうして観るとこれは後日譚と言えなくもない。
金華玉条のように奉ったナチズムから社会主義に、嬉々として思想的な転換を図ったあの夫婦。彼らが観たその40年後のドイツがここにある。「幻の国」の夫婦の健気さと贖罪意識を、「旗を高く掲げよ」の夫婦は遂に持つことはできたのだろうか。
この2作の関連性を、一度古川氏から聞いてみたいものだ。