満足度★★★★★
三月の五日間に続く「三月の四日間」である。前作は性を持て余す若者のしょうもない日常が世界につながっていく傑作だったが、今回は若い夫婦の内面的の心情を描いて、しかも、現在の世相に強くアピールする力もある傑作である。東北震災の前後を、これほど静かに若者の心象風景で活写した作品はない。今は亡き妻が語る日常生活の一コマ一コマに溢れる詩情豊かなセリフの素晴らしさ、それが全く生活から浮いていないところがいい。トラムは満席。立ち見がぐるりと客席を囲んでいたが、後半は平凡な表現で申し訳ないが、水をうったような静謐な感動が客席と舞台にあふれて、たまにはこんなこともあると芝居見物の冥利を堪能した。