満足度★★★★★
グリーンフェスタ2017参加作品。主宰者は、当日パンフに本公演は多くの問題が重層的に含まれていると書いている。それは「慰安婦」「組織」「家族」「表現の自由」「自主原則」「同調圧力」「メディア」「政治介入」「公平中立」…。人はそれぞれ違う。考え方、価値観が違うのが普通である。
物語は、2001年に起きたNHK番組改編事件、旧日本軍による「慰安婦」制度を裁く女性国際戦犯法廷を紹介しようとしたドキュメンタリー番組をモチーフ、主軸に捉え、それに絡むいろいろな脇筋から成っている。
複雑に絡み合う個人の思惑と報道の行方を巡って物語は漂流し始める。芝居としての要素、ドキュメンタリー要素、その虚構と現実が絡み合い、真実を飲み込みながら表層にある事実のみが肥大していくようで、現代日本の観えざる力を映し出そうとする力作。