満足度★★★★★
これは五星にしませう。炭坑三部作にもあった兄弟(姉妹)愛のモチーフだが、そのバリエーション(同じ轍に流れない)の書き分けに驚かされる。筑豊炭田を流れる遠賀川の船運送会社の斜陽の時期を捉えた物語で、四姉妹の次女と三女、父、三女を慕う青年四名の客演が申し分なく馴染み、良い意味で際立ち、複数のエピソードの絡まり具合といい、時折「劇」をはみ出す笑い取りといい、二次曲線的に競りあがる激情の瞬間といい、全てが絶妙な按配で「静かな屋台崩し」のラストもドラマの理に適い、完成度という言葉を使うなら、高い完成度を達成した桟敷童子の面目躍如たる、というか往年の舞台。