「泣いた紫の花」「43回混ぜても灰色」【ご来場いただきありがとうございました!】 公演情報 劇団えのぐ「「泣いた紫の花」「43回混ぜても灰色」【ご来場いただきありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    【泣いた紫の花】
    観劇した4月は別れと出会いの季節。チラシの「もう一度、あなたに会いたい」というフレーズがピッタリの公演であった。この劇団のチラシはタイトルに合わせた色彩で漫画風に描かれているが、本公演は「紫」と「灰」の2色をうまく使い分けている。さらに「泣いた紫の花」は物語に出てくる原稿用紙が涙で滲んだ絵柄で印象的である。
    誰にでも訪れる大切な人との別れを決して悲観的な視点ではなく、受け止めながら思い出を胸に前向きに生きていく家族の姿、そんな愛情物語である。

    さて、物語の展開としては理解しつつも感動という感情の扉が全開にならないのが少し残念な…。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは居間・渡り廊下、中庭がある一軒家。庭(上手側)には紫陽花が咲いている。居間の中央にテーブル、上手側にラジカセや父親の位牌等がある。下手側に低収納棚、電話子機がある。

    ある年の6月下旬から7月1日迄、その一週間程で家族の思い遣りを再認識するような物語。目の前(傍)にいる自分の大切な人をもっと愛おしみたくなる、そして自分自身の人生を見つめ直す。その新たな思いを胸に旅立ちを後押しするようだ。

    梗概…篠崎家の4人の姉・兄・妹・弟とその周囲の人々の日常を切り取った物語。父は亡く母(登場しない)は単身赴任のキャリアウーマンといった感じである。些細なことで言い争いをしているが基本的に仲が良い。兄・律(松下勇サン)は小説家であり著作が出版される7月1日を目前に事故死する。同じ1日は大好きな弟の17歳の誕生日でもある。その伝えたいこと…その思念が強かったのだろうか。現世に未練が残りその姿が弟だけに見える。

    気になったのは、母が息子・律の葬儀後1週間もしないうちに仕事先へ行ってしまうこと。確かに紫陽花の花言葉を引用して家族への想いを描き涙を誘うが、その感情、感覚にしっくりこなかった。子が生まれ寝返り、掴り立ちし、少し前に流行った「保育園落ちた、日本死ね!」にある保育園・幼稚園へ入園する。初めての親離れ、子離れは旅立ちと言えるだろう。親・子ともに嬉しい様な不安な様な複雑な感情。親の感情は子の成長過程にある、喜び楽しみや難しさや苦しさの中にあると思う。
    そんな思いをめぐらせると、この母親の行動があまりにアッサリしているようで釈然としない。もう少し母親の事情、喪失感を上回る使命感のようなもの(勝手な設定→海外の紛争地域または国内僻地の医療など留守が気になる等)が解ると…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/04/03 21:03

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