満足度★★★★
本作は近松門左衛門の『女殺油地獄』(おんなころしあぶらのじごく)の翻案ですが、近松ワールドから更に、登場人物の造形を深化させています。
ところで、若い観客の皆さんの観劇後のツイッターでの感想、つらつらと拝見してみると、主人公の吉雄はもちろんのこと、吉雄の母親(演・のぐち和美さん)の心理に関しても、表面上の言動だけで判断されたのかな? と、多少は長く生きてるオッサン、微笑んでしまいました。
血がつながっていようが・いまいが、親子の情・兄妹の情。
惚れていようが・惚れられていようが、男女の情。
そして、どうしようもない半端者ながらも、吉雄が持ち続けようとした男の矜持。
『流砂ゑ堕つ』は、観る側の人生経験・人生観で、いかようにも解釈できる会話劇でした。