ジャーニー 公演情報 AnK「ジャーニー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    自己の内面と対話、または兄弟の会話を通して作品への深化を高めようと試みた異色作のようだ。
    さて、20世紀ソ連で驚異的な観客を動員した映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」(邦題 1986年公開)…地球は遠かったと。その映画は脱力系SFであったが、本公演は脚本・演出の山内晶女史が「星の王子さま」をサンプリングしたあてもない旅の物語である。舞台美術は一見、雑然、雑多な印象であるが、反対に確固たるテーマを掲げた寓話を意識した作品のようだ。もっとも「星の王子さま」そのものが寓話。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、少し高い段差のある長変形六角型を中央に設え、その面は格子模様。その周りに木片、木脚立、綱などが置かれ雑然としている。
    「星の王子さま」をサンプリングした物語であることは先に書いたが、サンプリングの能書は省略し、原作の「伝承」をセカンドモチーフにしたという。

    本公演では、星の王子さまに出てくるサハラ砂漠が鳥取砂丘に変わり、そのロードムービーならぬロードライブは宇宙の星々を巡る壮大なもの。自星「温泉と音楽」の旅立ち、暗黒星、インドカレー、仮面舞踏…全12星を訪ずれるというもの。目的星は地球であるが、その途中にあるいくつかの星はその特徴を説明するに止まる(例えば「クズ星」「水の星」「岩の星」など)。そしてその星での体験を繰り返す、または回想するような演出はクドイように思う。それよりも表現を省略した星々の体験談を観てみたかった。
    ちなみに星の王子さまでも7番目が地球だったと思う。

    地球人と異星人の交流・交感を通して人生譚を描き出す。異星人の兄弟は、真上で光っている星(地球)を目指して旅が始まる。先にも書いたが5番目くらいまでの星での体験が描かれているがそれ以降は台詞での説明のみ。それがどうも中途半端なようで…。

    寓話性は、環境問題が透けて見える(大切なものは目に見えない)。もっとも公演は、サハラ砂漠→鳥取砂丘→大都会・東京砂漠を連想させるような、その乾き切った夢(ドライ・ドリーム)を潤す瑞々しい感性が感じられるようなもの。その一種独特の表現であるが、しっかりとした主張が見て取れるところに”力”を感じる。この劇団公演は、前回と今回だけであるが、どちらも伝えたい主張が明確なところが自分には好み。
    しかし、その表層的な観せ方が繰り返しと抽象的になったことから分かり難い印象を持ったのが残念。
    もう一つが死生観のような台詞…死んだら忘れられて寂しい。そこで伝承…生きていたことは子(ヨタカ)、孫(ミタカ)、曾孫(コタカ)へと言い伝えられる。

    次回公演を楽しみにしております、と言い伝えます。

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    2017/03/02 22:04

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