白い花を隠す 公演情報 Pカンパニー「白い花を隠す」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2017/02/28 (火)

    価格3,000円

    すでに伊丹市で公演した演目なので、東京公演初日も淀みない。
    2001年のNHKのドキュメンタリー番組改編を元ネタに作られた作品とのこと。あの事件から、すでに15年以上経ったのかと思うと、まさに光陰矢の如し。

    さて、この舞台を語ろうとすると、この番組改編事件の解釈に触れなくてはならないのは、どうも気が重い。でも、そうしないと話の筋道を辿れないから。だから、そのあたり触れません。もちろん、ここでの事件解釈が、Pカンパニーの主張、あるいは参加した役者さんたちに共通した主張だとは思ってはいない。ただ、比重こそ異なれども、プロデューサー、演出家、脚本家が、ここで描かれている主張へ軸足を置いているのは事実なのだろう。

    「胸の中の法廷」とは、何なのか。ただの自己満足なのかな。本来、法で裁くというのは、公明正大、ひたすら努めて私事や思い入れに左右されず判断されるべきものだとすれば、この舞台に出てくる何人かのジャーナリストは、思い入れや立場に固執する偏狭者にも思える。序盤の軽いタッチが中盤以降、怒鳴り合い、哀願、叫びばかりになるのは、そうした偏狭者の特徴が前面に出てしまったからだろう。正直、うるさい。

    Pカンパニーはもっと抑制が効いた芝居が魅力のような気がするのだけれど。

    ネタバレBOX

    さて、事件解釈に触れないで書くとすれば、どうしても姉妹のことになる。この姉妹、お互いを思いやる気持ちを持ちながら、亡くなった母親の愛情の在り方を軸に、激しく対立する。

    舞台序盤は、子供を亡くして7年も経ちながら、未だに立ち直れない姉を思いやる妹、妹の愛情に感謝しながらも不器用にしか立ち回れない姉、このコントラストの中、妹の結婚・妊娠となり姉は疎外感を持ち始めるといった展開に、件の事件が起き、姉妹周辺は慌ただしさを増していく。
    「(母親を)嫌いだと言えるからこその家族」(姉)、「家族だからこそそんなことは言うべきではない」(妹)。「(母親の)過度な愛情の押し付けが苦しかった」(姉)、「お母さんは、女手一つで私たちを育ててくれたのよ」(妹)。「あなたは絶対間違っている」(姉)、「お姉さんはいつも自分勝手」(妹)。お互いを罵り合う中での決別。(家を出た姉は帰って来なかったのだろう)
    (って、この話は件の事件の何か隠喩になっているのかしら。)

    ラストに、タイトルにある「白い花」(喫茶店で飾ってある観賞用の花の原種)を見たい、と言って家を飛び出す妹の夫。(原種はアフリカにしかないというのだから、彼も帰って来ないのかも)
    白は無垢の象徴だから、件の事件に対する自らの態度(でもこの方、ホントによく周りを気遣い、地べたをはいずるようにがんばったよなあ)

    その後、呆然とした妹は、幼い娘に「お母さんを愛している」と、姉を苦しめた亡き母の口癖(この回答に、姉は窮してしまっすと、母親は口をきいてくれなかった)を漏らす。
    事件は背景で、こちらの話を描き切った方が、面白かったかもしれない。

    話の軸としては、こちらの方が面白かったな。

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    2017/03/01 11:01

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