僕の居場所 公演情報 劇団あおきりみかん「僕の居場所」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    隠されていて見えない、舞台の後ろ側。
    そこには何があるんだろうと、少しわくわくした。

    予想できなかった、その後ろ側が現れたときには「これは面白くなるぞ」と思ったのだ。

    ネタバレBOX

    結局、後ろの採掘現場は、主人公の「心の中」であって、それをまるで「自分探し」をするような作品だったのではないか。

    彼にかかわってきたいろいろな人がそこに次々に現れる。
    彼らがいるはずのネットカフェ自体も、そこに存在しているのかと考えると怪しくなってくる。

    彼はネットの中で生きているようだ。

    まるで大団円のように「メデタシ、メデタシ」となったラストではあるが、本当にそうだったのだろうか。
    つまり、ここで繰り広げられていたのは、「彼の心の中」のことだけであり、そこに現れてくる人々とはすべて「彼の中」にある「妄想の産物」ではないのか。

    例えば、彼のトラウマになっている、幼稚園時代の熊の縫いぐるみのエピソードも、実はこうでした、という彼ににとって「救い」になるような「真相」も「彼の中」でのことであって、本当かどうかはまったくわからない。というか、単なる願望でしかなく、彼を励ます母親の姿も彼の願望であろう。

    したがって、大団円もまた「彼の心の中」に去来したものであって、実は彼はネットカフェの1室で妄想に耽っているだけの彼の可能性がある。

    誰も注意を払っていない、誰も見てすらいない彼の哀れな妄想がこの作品の内容むそのものではないのだろうか。

    ネットカフェの1室で、垣間見た、救いのある妄想を見ているだけの男の話だったように思える。
    主人公の名前が「ななし」と言うのもそれを裏づけているのではないだろうか。
    したがって、『僕の居場所』というタイトルは相当つらいタイトルではないだろか。

    主人公を演じたカズ祥さんは、声のトーンといい、繊細で追い詰められている感があって良かった。

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    2017/01/10 16:45

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