東京ノート 公演情報 ミクニヤナイハラプロジェクト「東京ノート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    さらに現代にアップデートされた『東京ノート』

    ネタバレBOX

    『東京ノート』の舞台設定は、美術館。
    これをけたたましい身体の動きと高速回転の台詞が印象のミクニヤナイハラプロジェクトが取り上げるという。
    さぞ美術館にいるほかの人たちが迷惑なことになるだろうと(笑)思いつつ、「静」の『東京ノート』と「動」のミクニヤナイハラプロジェクトの化学反応を楽しみにしていた。

    『東京ノート』の底にはなんとも言えない不安感がある。
    戯曲にももともとある感覚だ。
    PM2.0のように見えないそれは、登場人物たちを覆う。

    しかし、ミクニヤナイハラプロジェクトではそれが具体的に「見えて」くる。
    時代の不安感とともに、個人の不安や不快さがリンクしていくのだ。

    不安が高まり過ぎての、異様なテンション。
    乱暴で、暴力的とも言えるテンション。

    床に投影される文字は、「本音」のようで、実は匿名のネットの書き込みのように、自己の感情を自分がさらに増長させているようだ。実際に自分が感じていること、思っていることよりもより過剰になっているのではないか。

    感情の拡散は、エントロピーをさらに増加させつつ、怒りや嫌悪の感情に注ぐシステムとなっている。
    ネット社会の歪さを表せているのではないか。

    過剰な動きと高速の台詞は、本当は取り澄まして美術館にいる人たちの内面を露骨に抉り出していたようだ。

    同時多発の台詞は、もともとの戯曲でもあったのだが、この作品ではそれがさらに過剰になていた。観客は、意識してだけではなく、無意識の中で、自分が聞きたい台詞を聴いているのに違いない。
    したがって、全体に漂う感情の受け方も観客それぞれだったに違いない。

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    2017/01/09 18:38

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