満足度★★★★
鑑賞日2016/10/01 (土)
近松門左衛門の『女殺油地獄』を元に、ユニット主宰で劇団鹿殺し所属の有田杏子さんが脚本をお書きになり、劇団居酒屋ベースボールの新里哲太郎さんが演出された作品。
観ている間、ヒリヒリするような緊張感で息が詰まりそうだった。主人公のやることなすことすべてが裏目に出る。馬鹿だよ、そっちに行っちゃダメだ、と見ていてハラハラしてしまう。悲劇へ向かっているのはわかっているのに、どうにもならない、悪い予感に似た緊張感。
流れ落ちる砂のように、掴もうとしても掴めないまま、落ちてゆく。彼がほんの少しだけ賢く生きられたら、すべて違ってきたはずなのに。それでも皆が彼を愛していたのだろう、そう思うといっそうやるせない。