満足度★★★★★
絶望的な立場の女性2人のストーリーが交差しつつ物語は進む。2人を取り巻く登場人物の言動が強烈だ。身勝手だったり非常識だったり厚かましかったりし過ぎて、その理不尽さについ笑ってしまう。
ふたつの物語はゆるくつながりつつ進んでいく。場面を重ねるうちに、状況はどんどん絶望に向かっていく。しかしその一方で、破天荒に見えた人々の柔らかな心のひだが感じられてきて、序盤の笑いとは違う、何か切実な想いが観る者の胸を満たし始める。
絶望的な状況の中で人々がポツリと見せる、心の芯のところにあるピュアな何か。そしてそれが確かに愛する相手に伝わっているのだと思える静かな救い。思い返すと、今もまだ言葉にならない想いが胸を満たす。くそう、なんだよこれ、なんなんだよ。ズルいじゃない、こんなの。
この脚本で、このキャストで、これを観ることができてよかった。