満足度★★★★
滅多に触れられない国/域の「演劇」を短編リーディングで手軽に観られる機会だが、毎度の年末。今年は運よく早くに公演チラシを手にして、2編中1編を観劇。
俳優一人によるリーディングで、毎ステージ異なる読み手で計4回。これが変わり種の台本で、俳優・観客ともにスリリングな体験となる。作家の言葉を代弁する俳優は純粋な意味で作者の媒介となっており、作者の自由奔放にしてある意志に貫かれた言葉が、観客を、俳優を揺さぶり、時に卑近な、時に壮大で高邁な思想の次元に導く。こうして過ぎる「時間」が意識される。
作家と、そこから距離を隔て、また時をも隔てた我々との「関係」とは何か・・単なる「芸術作品とそれを鑑賞する者」を超えた意表をつく呼びかけに戸惑い、ほくそ笑み、考えをめぐらす時間だった。